見出し画像

カウントダウン「LEGEND GAME 2024」#49 上本達之編

上本 達之(うえもと・たつゆき)

捕手・内野手・外野手 右投げ・左打ち 1980年11月8日生まれ
ライオンズ在籍:2003~17年
通算成績:466試合 745打数 168安打 打率.226   13本塁打   78打点
背番号:49(03~17年)
当日所属:TEAM LIONS

1980年生まれの、いわゆる松坂世代。98年夏の甲子園、上本達之が3番キャッチャーを務める宇部商高と豊田大谷高の2回戦は、両校相譲らず。2対2の同点でのまま、炎天下のなか延長15回裏に突入していた。

守る宇部商高は、失策や敬遠の四球が絡み、無死満塁のピンチを迎える。バッターのカウントは2ストライク1ボール。4球目のセットポジションに入りかけたピッチャーが、やり直そうと動きをほどく。「ボーク!」。球審のコールにうながされた3塁走者がホームを踏む。

3時間52分に渡った熱戦の決着は、まさかのサヨナラボーク。マスク姿の上本は呆然と立ち上がり、眼の前で生還するランナーを見送るしかなかった。

「あれはキャッチャーである自分のミス。二塁走者にサインを読まれていると感じて、慎重になって、サインを出し直してしまった…」。

ちなみに、この日は次の第3試合で、松坂大輔の横浜高と、杉内俊哉の鹿児島実業高の対戦が予定されていた。長時間待たされる形となった松坂からは、のちに「お前らの試合、長いんだよ。終わりが読めないから3度もブルペンで肩を作った。おかげで良い結果が出たよ(笑)」と言われたそうだ。

卒業後は、地元山口県の協和発酵で4年間プレー。02年のドラフトで、ライオンズから6巡目指名される。同じ80年生まれの長田秀一郎、後藤武敏、小野寺力が同期になった。

入団3年目の05年に1軍初出場。06年に初めてスタメン出場した試合で初安打。07年に初打点、08年に初の開幕スタメンと、一歩一歩の歩みは遅いが、実績を積み重ねる。最大の魅力はパンチ力。186㎝の長身ながら、腕をたたんで内角球をさばく器用さもある。その打撃を活かすため、指名打者はもちろん、ファースト、外野と、捕手以外での出場も増やしていった。

大きな飛躍をみせたのが09年。右ヒジを痛めた細川亨に代わって、4月下旬に1軍昇格、代打で結果を残して生き残りを続けた。すると、7月5日東北楽天ゴールデンイーグルス戦で、チームの勝利につながる追撃の1号2ラン。

続く8日北海道日本ハムファイターズ戦では、1点を追う7回裏に代打で登場。ダルビッシュ有から西武ドームのバックスクリーン右に飛び込む逆転2ラン。7年目での初アーチから出場2試合連続弾。試合後のお立ち台では「興奮しちゃってワケ分からなかった。コツコツやってきて良かった」と、喜びを噛みしめた。

この年はシーズン最後までファームに落ちることなく、代打で打率.324、3本塁打、8打点。ライオンズでシーズンに3本の代打本塁打を打ったのは、98年ペンパートン以来11年ぶりで、「左の切り札」の地位を確立する。

ライオンズ シーズン代打本塁打

翌10年には、その勝負強さに磨きが掛かり、代打で40打数16安打の打率.400と、驚きの成功率。スタメンマスクをかぶる機会も増えて、自身最多の91試合に出場する。8月29日のイーグルス戦では、チームの連敗を7で止める逆転サヨナラ3ラン。折しも、この日は「ライオンズ・クラシック2010」の最終日。太平洋クラブ時代の復刻ユニフォームを着ての一打に、東尾修、土井正博、白仁天ら、来場していた多くのOBたちを喜ばせた。

キャッチャーとしての存在感をみせたのは11年。8月中旬から、それまで4勝6敗と波に乗り切れていなかった西口文也と、バッテリーを組み始める。すると、セオリーには捉われない一味違った配球で、西口は復調。8月28日のファイターズ戦では6年ぶりの完封勝利で、102試合続いていた先発途中降板の記録をストップするなど、上本と組んだ試合では7勝1敗の好成績をおさめたのだ。

同じ左打ちの捕手である森友哉の入団などで、徐々に出場機会が減りつつあったなか、16年には自身3年ぶりとなるホームランを放つなど、開幕から1度もファーム落ちすることなくシーズンを完走。3割を超える打率を残して、輝きを取り戻した。

だが、17年シーズンは1軍にいても出番のない日が続き、出場11試合、ヒット1本だけで、8月14日に登録抹消。そのまま、このシーズン限りで15年間の現役生活を終了する。

引退後も球団に籍を置き、2軍のコーチやスコアラーなどを務めていたが、今年から中国地区のアマチュア担当スカウトに就いている。

上本達之 年度別成績

「LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME 2024」
3月16日(土)12:00開場/14:00試合開始
会場:ベルーナドーム
配信:パーソル パ・リーグTV
放送:BS朝日(翌日録画放送)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?