佐々 ユキヨシ

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    『夜の推し事』(テーマ:夜)

    アイドルタレントの彩花は仕事を終えて帰宅し、部屋の照明をつけたら、続けてカメラとパソコンの電源を立ち上げた。 「ただいま~、今日も疲れたなぁ」 大きめの独り言。部屋の中にいくつか設置されているカメラは、ネットで配信をするために撮影している。 「夜ご飯はオムライスを作ろっと」 台所に行くとセンサーが反応し、配信画面は調理中継に切り替わった。作った夕食はカメラの前で愛想を振りまきながら食べ、今日の出来事を話したり、気分がいいときは歌ったりしてみせた。 例の感染症ショック以降、フ

    『夜の推し事』(テーマ:夜)

    『ヒットチャートをねらえ!』(テーマ:平成とは)

    あと数か月後で専門学校の作曲科を卒業する僕は、この先に明るい未来が見えなかった。平成後期からCDが売れなくなり、音楽不況と言われてから市場は更に落ち込み、どこのレコード会社も頭を抱えている。音楽が好きでも生業とするのに令和は厳しい時代だ。 同級生の多くが音楽とは関係のない就職先を探している現状だったが、卒業作品を評価してもらった会社から楽曲制作の依頼を頂いた。新しいヒットクリエイターを探すために目ぼしい新人に依頼をして、ヒットしなければそれまで。これはいつの時代も変わらない。

    『ヒットチャートをねらえ!』(テーマ:平成とは)

    『ギミーシェルター』(テーマ:お買い物)

    モニター上の商品を閲覧して数クリックで決済。「ご購入ありがとうございます!」の確認メール。 たいていの買い物はネットで済ませるようになった。以前は店頭で見て、欲しい物か確認し、同等の物・値段などの比較をしてから購入の判断をする慎重派だったのだが。それが今では広告会社に登録すれば、生活状況や趣味嗜好を徹底分析し、各メーカーの膨大なリストの中から、購入する可能性のありそうな商品の広告を直接、通信画面上に提示してくれる。更にはネットの通信網から、クレジットカードの明細や検索ワード、

    『ギミーシェルター』(テーマ:お買い物)

    『2008年、下北沢』(テーマ:音楽)

    レコードショップの袋をとって置く癖がある。CDバブルだった90年代にはWAVEやディスクユニオンのショップ袋はファッションアイテムになりえたこともあり、何かと重宝するものだ。友人に借りた本とDVDを返そうと部屋を探すとA4サイズのJET SETの袋が見つかり、中にはレシートが入っていた。それは下北沢店のもので、日付を見ると、ちょうど10年前の記録が残されている。10年前の今頃、僕は下北沢で何をしていたのだろう?誰かと会っていたのだろうか?普通10年もたつと記憶は澱んでいるのだ

    『2008年、下北沢』(テーマ:音楽)

    『HYPER GAL × ハポン。(DJ松本亀吉)』

     最高気温36.5℃を記録した7月21日名古屋。ライブハウス鶴舞パポンの前も開場待ちでとても暑い。リハ中の亀吉さんから「夏服ハポンちゃんたちヤバいっす」のメッセージに入場前からブチ上がってクラクラする。  12時オンタイムで開場。亀吉さんのオープンDJは、中田ヤスタカ氏と桑島由一氏の楽曲を中心にアイドル・ガールズポップの選曲。体の暑さも引き、スパナの『Round&Round』で気持ちよくなり友人と乾杯。今のところ客はすべて男。 ・ハポン。 初のツーマンで時間が長いので持ち曲

    『HYPER GAL × ハポン。(DJ松本亀吉)』

    『韓国出張日記』

    1月13日 本日から2週間、日系企業の新規プロジェクト立ち上げの為、韓国に出張。セントレア(名古屋)から仁川国際空港(ソウル)までは2時間。機内ではiPhoneでThere There Theresを聴くことにした。アルバムが昨年末にリリース、そのツアー中の1月7日に2月末でのグループ解散が発表されて、今はショックでまともに受け入れられない。憶測だが最近は平澤芽衣が中心のグループになりパフォ-マンスの完成度が上がっていたが、彼女が力を付けてきたが故にパワーバランスが崩れて解散

    『韓国出張日記』

    『溺死ジャーナルAI』

     自他共に認める松本亀吉マニアである自分に、松本さん本人から「今までの松本亀吉の仕事を整理してデータ化してほしい。」と依頼を受けた。もともと几帳面な松本さんは書いてきたものは残しているのでそれらをまとめたり、過去の溺死ジャーナル、日記を始め雑誌連載、インタビューやSNSの発言等をデータに起こしたりして、できる限りのテキストを集めアーカイブ化した。  お礼に納めたデータはコピーして好きにしていいと許可をもらい、ファンとしてこんな嬉しいことはなく、また多くの人に見てもらいたくてそ

    『溺死ジャーナルAI』