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記憶を呼び覚ますスイッチ

私は、自分がこれまで生きてきた長いタイムラインの中の、ある一つの時点において、自分がどんな感性で、どんな表情で何を考え、何を好きでいたのかを無性に思いだしたくなることがある。もっと深掘りすると、その時の空気はどんな匂いで、どんな温度で、どんな色がしていたか、湿っぽかったのか、カラッとしていたのか。周りではどんな音が鳴っていたか、部屋の明るさはどうだったか、そこには誰がいて、彼らは何を思っていたのか。

部屋に渦巻く感情や空気感を完全に脳内で再現して、そこで一体何が起きていたのか、何度も何度も確認するという作業を、無意識にやっていることがある。

思い出したくなるのは、私の場合は主に高校3年生〜大学の記憶に関してだ。この間、自分の気持ちがわさわさと揺れ動かされる経験がたくさんあった。それらを経験した当時の自分にとっては、その感情を喜怒哀楽の枠組みで処理することは難しかった。だから、大学4年になった今もなお、整理のついていないファイル群にラベルをつけて振り分けるように、記憶の落とし所をずっと探している。落とし所がなければ、また心にしまって寝かせる。

記憶を呼び覚ますためのスイッチがある。たいていは音楽だ。ずっと音楽系の部活をやっていた。だから、練習していた曲を聞けばその時の情景や感覚・空気感が手に取るようにわかる。その時よく一緒にいた友達の表情とか、部室の雰囲気とか、そういうものがわらわらと立ち上がる。思い出の中でいつでもその人たちと会うことができる。いつも会っている。

面白いのは、その時の空気感を思い出すことはできるけれど、その中で起きた出来事やトラブルなど、そういう細かい次元の話をまるで覚えていないということだ。誰と誰の間でいざこざがあったとか、そういうことは同期の方がよく覚えている。だから会って話をした時に、細かい部分を補完してもらう(笑)

私が毎月、気に入った曲をプレイリストにしているのもそのためだ。スケジュール帳や日記を見直すよりも、音楽を聴いた方がよりリアルな情景・感情に包まれる。
この時間がとても心地よい。そして、またそれがトリガーとなって、身に覚えのない感覚・記憶が湧き上がってきて、また気持ちがめちゃめちゃになってしまう(笑)

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