Daily2=補欠選挙&再選挙やっぱり野党は勝ち切れなかったのか??~衆院選北海道2区本選はどうなるの?

皆さんこんにちは。

さて、2回目は先月の補欠選挙について。

結果は立憲・国民・社民・共産・れいわが推薦や支援をした現野党系の候補が3勝し、自民・公明の現与党系が全敗しました。

野党系候補を応援していた皆さんは歓喜に沸いたわけですが、その直後に朝日新聞からこんな記事が出て物議をかもした…というよりは僕のTwitterのタイムラインでは普段立憲民主党を支持している人たちからものすごい批判が飛んでいたのを見ました。もちろん与党系支持者(一部人からは野党が嫌いなだけだといわれるかもしれませんが)はその通りと思った人がいるかもしれませんね。

その問題の記事がこちら。

記事は「参院広島選挙区を除くと野党の迫力はいまひとつだった。」とはじまり、「野党側は候補の一本化で「共闘」したものの、無党派層を大きく呼び込むような選挙には至らなかった。「コロナ禍」で疲弊する有権者の心を与野党ともにつかみかねたようにも見える。秋までにある総選挙の行方をうらなう衆参3選挙と言われたが、与党側の「敵失」に乗じて野党が勝った側面が強い結果」と結んでいます。

背景にあるのは得票率と投票率

〇投票率:30.46%

〇開票結果(NHKより)

画像1

〇出口調査(NHKより)

画像2

こうしてみると、確かに投票率は低いですね。ひとつの理由で説明し尽くすことは難しいと思いますが、近年の国政本選挙でも50~60%くらいは投票率出てきています(その時も与党野党の組み合わせ大きく違いませんからね)。と考えると投票率が低いのは候補者の資質・能力・政党の説得的主張うんぬん以外に左右されてしまっているところが大きいと考えられます。出ている候補者の質がいきなり倍になったり半分になったりはしませんからね。あと自民・公明は統一候補を出さなかったので現国政与党候補が勝てない選挙と思った人(逆に松木さんが簡単に勝つだろうと思った人)は投票行かなかったかもしれませんね。

続いて得票率ですね。特に北海道2区は松木氏が得票率について4割台前半にとどまり過半数に届きませんでしたし無党派層の支持も半数以下でした。長野も確かにリード幅が10%くらいなので日本の選挙では大差とは言えないかと思います。

この点だけ強調すれば記事のような見解は容易に導き出せますが、与党側の事情は敵失でしょうか?敵失というのはやろうと思えばできたことをしょうもないミスで落としたみたいな話ですね。

北海道2区朝日の記事の通り、開票結果の上では長友氏(自民党籍)と鶴羽氏(公明党婦人部が応援してたとされる)の票を足せば松木氏と競り合うことになります。つまりこの補欠選挙で与党統一候補を出せば十分選挙戦になった可能性もあるのです。可能性があったのにできなかったのはミスではなくて候補を立てるだけの実力や情勢を読むという判断力が根本的に欠如していたのではないでしょうか?

長野は与党候補立ちました。しかしこの小松氏もやはり支持は集められなかったのです。これは敵失とは明らかに違います。広島は逆に実力以上に票が集まらなかったのかもしれませんけれども。

このように考えると、現国政野党はやるべきことを淡々とやっていたと評価することはできると思います。6年以上前の「バラバラ野党」時代とは実力の差が見えた補欠選挙・再選挙だったのではないでしょうか?


衆議院選挙では楽勝か?

今回の補欠選挙・再選挙に一定のプラス評価を与えることでいいとは思うのですが、このままの結果で次回の選挙も結果が決まったとまで言えるのでしょうか?ここからは公式に出ている情報から辿ってみます。

私たち党員は、支部会でこのことを討議しています。北海道2区の共産党には札幌東区地区委員会と札幌北区地区委員会(僕の所属)という2つの地域組織があります。委員会の中に支部がかなりありますので他の支部で同じ結論になったかはわかりませんが、少なくとも次回も楽勝であるという見解は出ておりません。

また地区委員会の指導組織にあたる共産党北海道委員会の選挙結果へのコメントは必ずWEBに出ているんですけれども、選挙結果やプロセスを一定程度評価をしつつも「今回の補欠選挙ですら、野党共闘を恐れ、破壊しようとする攻撃、妨害がおきた。総選挙はいよいよ政権がかかった選挙。いっそう激しい野党共闘攻撃が仕掛けられることも予想される。」と厳しい一文が。

現状衆院選の小選挙区というのは、1人しか当選しません。与党であろうが野党であろうが共通の政策を抱えた政党・勢力同士で2人立ててしまうというのは相手候補を勝たせる結果になります。共通政策を持つ勢力が候補を統一するのは議席を得て自分たちの政策を実現するための絶対条件なのです。

北海道2区についても、共闘する政党同士で候補者を統一できなければ、票が分散して現与党を上回ることはできません。このことは2017年の衆院選の結果から明らかです。比例選挙を見ても共産党の得票率は北海道2区限定なら13%あります。東区が15%近くあって他所の地域と比べると得票率が大きいんです。全体のうち13%も票が動いたら結果を左右することは想像に難くないことです。

いわゆる陣営の引き締め効果を差し引いても、なおも楽観視できない事情はここにあります。

①共産党の勢力があるので、他の現野党からすれば共産党との統一候補を立てなければ選挙構図は途端に苦しくなる。

②にもかかわらず補欠選挙では統一候補への調整が相当難航した

2点に収れんされます。

②については補足が必要です。松木氏にまとまるだろうという観測はありましたし、この点についは反発もありましたが(出口調査でも慎重に読めばわかります)注目すべきはここではないのです。結局松木氏に統一することができたのですから。

注目するべきは統一候補を選出するにあたっての「協定書」の内容です。

もうGoogle先生にお願いすれば画像なんかは出てくるのでわざわざ貼りませんけれど、補欠選挙長野の文章量と北海道2区のそれとはまったく違います。はっきりいって北海道2区のほうが薄いんです。

「地域差じゃないの?」との指摘もあり得るでしょう。間違ってはいませんが、長野の協定書への反対論が根強いという報道がありました(国民民主や連合が消極的な姿勢だった件)。当然他の選挙区への圧力になったこと、調整にさらに時間を要した要因となったことは想像に難くありません。その他の選挙区は紛れもなく「北海道2区だった」のではないでしょうか?そのほかにもSNSや実際の演説を見てみるといろんなことがわかります。特に「何をいわなかったか?」という観点で振り返ってみるとよくわかるんです。ただ演説に関しては松木氏、僕も生で聞いたんですけれども協定書に入れられなかった内容をわりと重点的に触れてた感じがしましたけれども。

いわゆる「野党共闘」は目的ではなく必要な社会政策を実現するための手段です。とはいえ、その手段の形成は6年たっても「道半ば」なのです。政党外の方々だけではなく政党の現場でもまだ完成形は見いだせていないのです。

立民幹部が朝日新聞の記者に「薄氷の上」と表現したそうです。その朝日新聞の記者は的確な取材をしていたのだと思います。共通政策も次の衆院選についてはまだ発表ありませんしね。

こう書いてしまうと希望がないように感じますが、薄氷だったとしても築きあげられたものは運動に携わった人間だけではなく選挙に行きそして投票してくれている有権者や消極的でも不満があっても応援していただいた皆様の良識の積み重ねに他なりません。それまでは「薄氷」すら存在していなかったのですから。

もちろん、今回結果としては統一候補を出せました。これは支えて頂いている皆様とすべての陣営との共同の賜物です。課題はあると思いますがその成果を揺るがすものではないことを最後に改めて確認しておきたいと思います。

おわりに

こんなところでしょうか。6年前と比べればという点は確かなのですが、このままの状態を継続することがベストとはいえないでしょう。補欠選挙・再選挙に勝利したことに意味がなかったという過小評価は論外ですが、正直個人的にはネットのクラスタさんの評価はやや過大かなと思いました。

立民は今後さらに勢力を拡大していくでしょう。ただ単独で政権を担える自信があるならともかくそうでなければ他の政治勢力との共同をするしかありません。ただ他の政治勢力(共産とか社民とか)と一致する政策や部分的に理念が重なることはありますが、完全に一致するわけではありません。

社民だから掲げられる政策や理想は今の僕の立場から見ても十分評価できるものです。歴史が長い共産だからこそ、その歴史に裏付けられた実力と経験があります。このほかにも国民民主党やれいわ新選組もあります。そういうものに今後の社会をよくする契機が隠れていることも十分あり得ますし互いに苦手な部分を相互補完することもできるのです。そのためには共同している勢力すべてが安定して議席を持ち続ける必要があると僕は思っています。そしてそうした勢力を育てていく経験は将来の社会につながると考えます。

政策についてはそれだけで延々と続くのでまたの機会に。

次は都議選についての雑感にしようかと思ってます(好き勝手書こうとしておりますので後半は条件を飲んでいただける方のみ閲覧許可としたいと思います)。

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