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【Oral care-11】ビタミンCレベルと歯周病状態とは関連性があり、その関連性は喫煙の有無に影響される

オーラルケアシリーズの第11回目です。

今回は、血中のビタミンC濃度と歯周病の状態が関連しており、更に喫煙者ではより深刻である、という新潟大学からの論文をご紹介します。

▶論文タイトル
「Interaction between serum vitamin C levels and smoking on the periodontal condition in older adults」
▶論文情報
J Periodontal Res. 2022 Apr 12.
発行日:2022年4月12日

▶概要
喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の有病率および重症度が高いこと、喫煙は栄養状態に悪影響を及ぼし、抗酸化物質、特にビタミンCの摂取量の減少と関連することが、いくつかの疫学研究で報告されている。
そこで高齢者の血清ビタミンC濃度と喫煙との関係およびその歯周状態に対する影響を検討することを目的とし、353名を対象に調査を実施した。
性別、歯間ブラシやフロスの使用状況、歯の本数を調整した上で血清コチニン値が高い(100 ng/ml以上)被験者と低い(100 ng/ml未満)被験者の血清ビタミンC三分位値の歯周病状態マーカーの有病率比(PRR)の差を評価した。
ビタミンCのPRRは、両群ともPPDまたはCALに対して負の傾向がみられた。特に血清コチニン高値群ではより大きな差が認められた。
ビタミンCレベルと歯周病状態との関連性が示唆されたが、その関連性は喫煙の有無に影響される可能性がある。

これまでもビタミンCが歯周病の治療に効果があるという報告がありました。
例えば、歯周病菌であるP.gingivalis菌により生じた歯周炎に対し、ビタミンCを添加することで炎症や活性酸素の発生を抑えることが可能であり、また歯肉のコラーゲン産生にはビタミンCが必須です。
Oxid Med Cell Logev.2021:6679708.
(Ascorbic Acid: A New Player of Epigenetic Regulation in LPS-gingivalis Treated Human Periodontal Ligament Stem Cells)

今回の報告では、日本の高齢者を対象とした調査ですが、血中のビタミンCの濃度と歯周病の状態には関連があり、ビタミンCの濃度が低いほど歯周病が悪化しやすいことが改めて確認されました。

また、喫煙者(体内コチニン濃度が高い)ほど、よりビタミンCと歯周病との関連性が強くなる、つまり、喫煙していてビタミンC濃度が低ければ、より歯周病は悪化しやすい、といえます。

また以下の論文では、ビタミンCを1日450mg、2週間摂取することで、歯周病指標を改善させることができる、という報告もあります。
J Diet Suppl. 2013 Jun;10(2):93-104.
(A short-term evaluation of the relationship between plasma ascorbic acid levels and periodontal disease in systemically healthy and type 2 diabetes mellitus subjects)

ビタミンCは、抗酸化作用だけでなく、抗炎症作用や、更にはコラーゲンの合成を促進させる働きがあり、今更ながらオーラルケアには非常に重要な栄養素であることが再認識されています。
ただ、ビタミンCは一度に大量に摂取すると下痢をすることもあり、また体内にはすべて吸収されないので、効率が悪いため、500mg程度を何度かに分けて摂取することをお勧めいたします。

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