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Ska vi fika?

珈琲は苦い。

こんな飲み物、大人になっても、飲みたいなんて思わないだろうと思ってた。

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コーヒーなんてにがいじゃん。
大人はなんでこんなにがい思いものを飲むんだろう?
コーラみたいにシュワしゃわの甘い飲み物があるのに。

ねむけざましだそうだ。
ねむい時はねむれたらいいな。

ボクはまいばん、ねむれない。父さんがよるおそくに帰ってきてはニギヤカだ。
ねむれたらいいな。ボクはお昼は、いっつもねむい。
学校のじゅぎょう中は静かでいいんだ。

コーヒーは苦い。
電気屋のおじさんが来たときに、母さんが「おじさんにコーヒーを入れてあげて」という。
インスタントコーヒーのいれ方はわかるけど、どのくらい粉を入れたらおいしいのかわかんない。ポットのお湯はどのくらい?カップ半分以上?
粉の量は毎回、チガウ。それでもおじさんは、おいしいと言う。
きっとこのおじさんはウソつきか味オンチなのかやさしいのか、テキトーなんだ。

コーヒーの色はカッコイイ。飲んでいくうちに色が変わっていくみたい。
べっこう飴みたいに光ることがある。

大人はまず、目を細め、カップと鼻をくっつける。
白く立ち上がるゆげを鼻で吸いこんで、うーん。と言っている。

たぶん、それまででゼンブなんじゃないかな。

コーラが一口目が一番おいしいのと同じようにコーヒーはきっと、くーんと香りをかぐ。それでぜんぶなんじゃないか?だって飲んだら苦いんだから。
捨てちゃうのがもったいないから、飲むのかな。

大人もコーヒーは苦いんだ。
砂糖を入れて粉みるくを入れて、ごまかしている。
なんでそんなにまでしてこげた豆の汁を
飲まなければいけないんだろう。

電気屋のおじさんも母さんとの話が終わって帰りたいのにコーヒーをもたもたとあせりながら入れてるボクを待ち、出て来たものをフーフーとしてズーズーと飲んで、おいしいと言って。どうもありがとうございます。じゃあ、また連絡しますんで。

と帰っていく。

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珈琲が好きだ。豆は酸味の強いものを好み、濃いめに淹れてブラックで飲んでいる。
豆から挽いて淹れるのも好きだ。必ず2杯分淹れる。
妻はやや薄めを好む。彼女はそこにミルクを加えて飲むのが好みだ。

仕事で相談者のお宅にお邪魔することも多い。訪問先では原則、水もいただかないのが「正しい」。
それでも、もう淹れてしまいました。と言われればいただくことになる。正しいとか正しくないとか置いておいて。

珈琲はおもてなし。おもてなしをありがたく、うけとる。
少しくらい苦みがキツくても薄くても、美味しいって小さく呟く。
電気屋のおじさんのように。

珈琲の話を書きながら今日もまだまだ長くなりそうな夜を過ごしている。