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ピックアップをボビンから制作

エレキギターのピックアップを製作した。一般的なハムバッキングとは異なり、バーマグネットに直接コイルを巻き付け、ボビンが45°傾いた状態でブレードを挟み込むという変態仕様。海外ではSidewinderと呼ばれているようで、後期FirebirdやSG Bassなどで採用されている。YoutubeでFirebirdの音を聴いて衝撃的に好みだった為、いてもたってもいられなくなり自作を選んだ。だって売ってへんねんもん。

刃牙テイストでレビューするなら「ナタの 重量 (おも) さとカミソリの切れ味」というやつ。これまでリンディフレーリンのP-90、ダイナソニックPUしか信じていなかったので、ここへ来て自分のプレイスタイルに合うPUがハムバッカーだとは思いもしなかった。そういえば人生初のエレキギターはテレキャスターデラックスで、ワイドレンジハムバッカーだった。それ以降今に至る16年ほどはP-90がなにもかもの基準だったので、自分でも妙な遠回りをしてきたなと思う。


ところで机はいつ片付くのだろう

アルニコ5のバーマグネットを採寸し、ベークライト板を切り出す。ベークライト板はハサミで切れるので作業性も良く、熱による変質も無いためポッティング(ロウ漬け)にも耐える。中央部はリューターで削り出す。外装部分もついでなのでベークライト板を切り出したものを使い、黒の紙マステで最低限オシャレをした。
バーマグネットを挟み込んだ状態で、アロンアルファを隙間に流し、更に間髪入れず重曹を振りかける。こうすると厚みが出来るので削って平面を出せる。ピックアップワインダー(巻き線機)に固定する際、ある程度の精度で平面が出ていないと回転中にブレが生じ、屍の山を乗り越えることになる。


ピックアップワインダーも制作した。100均の木箱にどこのご家庭にもあるモーターとどこのご家庭にもあるPMWコントローラーで。エフェクターと同じ9Vセンターマイナスで駆動するようデザイン。巻き数のカウント方は磁石を使用する。カウンターのセンサーに磁石が近づけば1カウント、という機構を利用して巻き数の目安を数字で確認する。テンションバーの効きがイマイチなので相当心と時間に余裕があるときにはまた作り直したい。

実際には巻いていくだけに見えて色々と勘所が必要になる。コイルをつまむ手の強さ、巻く速度(テンション)、ランダムに巻きながらも均等な厚みを目指しているうちに何度失敗し、コイルを解くことになったか。可能なら避けたいが、途中でプツンとコイルが切れるくらいはハンダで結線できるため全然取り戻せる。ボビンの小さなバリにコイルが引っ掛かり、そのまま取り返しがつかない回数巻いていると完全に終了。忍法全ほどきである。

AWG43という髪の毛程度の細いワイヤーを、6000ターンを目安に巻く(×2回)溶かしたロウに漬ける作業。この作業でも慎重さを欠くとコイル断線の恐れがある。
ロウが冷え固まると、いよいよ組み込み。バーポールピースを巻き上げたコイルで挟み、各コイルの巻き始め同士を結線。HOTとCOLDはどちらでもいい(はず…)。
ダイナソニックのサイズで作り、成功したのでジャガーにも載せた。ジャガーはミニハムのエスカッションを利用して固定。

このジャガーは高校時代の知人に突然頂いたフェンダージャパン。リフィニッシュ、リフレット、配線交換の上に自作PUも積んだのでもはや別物。様々な工作をこのジャガーから学んだ。ボディーがかなり重い。センターズレ疑惑があるのでブリッジ交換で誤魔化しておきたいことを思い出した。

次は何を作ろうかなあ。

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