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【エフェクター製作】Wampler cranked AC

オーバードライブペダルを製作しました。オペアンプを使用しない所謂ディスクリート回路。IC<ディスクリートというのは情弱消費者向けのポエムとして使用されていることが殆どで、「ディスクリートだから音がいい」というのはエフェクターに置いてはただの寝言。そもそもエフェクターというものは往々にして音を(ピュアオーディオ的には)悪くする機構なのだから。いい音というものは存在しないという大前提で、「好きな音とそうじゃない音」から出発点にした方が幸福度は高い気がする。私は15年以上ライブハウスで演奏し、内5年をライブハウス勤務で過ごし、「いい音」という呪いで無暗に時間とお金を棒に振っている人を、それはもう数えきれないほど見てきた。位相と理想のサチュレーションに何度も目を細めた。

今回製作した音を悪くする機械はWampler Cranked acというペダル。FETを使用し、クランク(要はフルテン)したVOX AC-30の音をエミュレートした回路らしい。基板レイアウトはhttps://effectslayouts.blogspot.com/から頂きました。こんな便利なサイトがあればエフェクターなんて誰でも作れる。別に凄くもなんともない。一時期はPtoPに拘ってどんなエフェクターもPtoPで製作していたが、最近は専らプリント基板。メンテナンス性も良いしエラーがあった時の特定もかなり楽。PtoP、プリント基板による音の差は無視していいレベルなので、いいアンプを買ってギターを練習すれば大体は解決。だけど心地よい気分から素晴らしいプレイが生まれるということを否定はしない。なので私は好きなパーツ(AB抵抗、AVX)を使います。

何度か音が出ないトラブルに見舞われ、原因も特定が難しく「詰んだか…」と思いながらFETを交換し、再度バイアス4.5Vをトリマーで当てると無事に音が出た。どうやら2N5457が一点不良品+ドレーンに正常な電圧が届いていなかったことが直接の原因だった模様。トリマーポットはノイズの原因になるのであまり基板実装はしたくないのだけど、まぁギターなんてノイズありきだしな…と謎の開き直りで機嫌を取った。都合のいい神様に都合のいい時だけ祈ればいい。

音に関しては試奏動画を撮ってみたので後日アップされるであろうそちらで。試奏動画というやつはプレイの引き出しが無いと悲惨である。自分のプレイ、右手のタッチにかなり合っている。好きな音や相性のいい音は一番インスピレーションに繋がる。新曲が完成すればこのペダルを連れてスタジオに入ろう。そしてメンバーにこう言うのだ。


「どや?ええ音やろ?ディスクリート回路っちゅうてICなんてハイカラなもん使ておまへんのや!」

「やっぱヴィンテージのAB抵抗とAVXのコンビネーションでしか得られない粘りがあるっちゃな~~~~なあなあなあ~~~~~~~~~~~~~~???」

「ディスクリートやから音がええんや!黙れ黙れ黙れ黙れ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」


そして泣きながら帰宅し、自ら壁に頭を打ち付けて新曲の歌詞を書く。これが私のナイトルーティン。

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