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大成建設の現場が変わる!特命ICT担当が成し得たLINE WORKS浸透術

大成建設株式会社は、国内外での大規模な建築・土木工事のみでなく、都市開発やエンジニアリングなども手がける総合建設会社です。

同社には、2018年からLINE WORKSが導入されています。その活用方法は特徴的で、建設現場単位でLINE WORKSを導入し、現場に携わる協力会社の人たちもLINE WORKSのグループに属しています。

参考:大成建設LINE WORKS導入事例
https://line.worksmobile.com/jp/cases/taisei/

建設現場では、多数の協力会社に所属する人たちが一緒に働いています。全体を統括する作業所長は、迅速に各担当者と連絡が取れる体制を整えることが不可欠で、全員に情報を周知する必要もあります。

同社では、作業所内のコミュニケーション手段を統一することで作業所全体の生産性向上に大きく寄与すると考え、建築・土木合わせて現在160弱の作業所でLINE WORKSが導入・活用されています。

中でも長崎県諫早市にある大規模作業所では、約800名という大人数でLINE WORKSを運用しています。(2022年10月現在)

今回は、作業所でICT担当として携わる神山淳一さんにお話を伺いました。

大成建設のICT キャラバン特命隊員!神山さん

2021 年、大成建設では生産性の向上及び就労環境改善を目的とし、新たな生産技術を施工現場に適用し、その 成果を社内へ水平展開する組織「生産技術イノベーション部」をつくりました。

生産技術イノベーション部の中にある生産技術ソリューション推進室には「ICT キャラバン隊」と称する、社内開発の業務 システムや市販 ICT(情報通信技術)ツールの情報を取りまとめ、施工現場へ普及活動を行っている部隊があります。 神山さんは「ICT キャラバン特命隊員」として本社に所属するのではなく、現場に常駐するスタイルで活躍していて、現場 の所員や協力会社の作業員からとても頼りにされている存在になっています。

ーー神山さんが「特命隊員」と言われるのは、どうしてですか?
神山さん:ICTキャラバン隊は、若手から幹部までICTリテラシーの格差をなくし、誰もがデジタル技術を活用できるようにすることを目標に活動しています。その活動は本社を拠点にして、全国各地の作業所から要望があったときに対応しています。

私はもともと、作業所に所属する工事係でした。さまざまな機会を経て、現在はデジタルマネージャという作業所独自の役割を担い、建設現場のICT化に取り組んでいます。作業所に常駐しているため、本社にいるICTキャラバン隊のメンバーとは全く違う動きをしていることから、「特命隊員」なんて言われていますね。

ーー神山さんは巨大作業所のICT関係の手続きを一手に引き受けて“神様”と呼ばれ、とても尊敬されているそうですね。現場では「ICTでわからないことがあったら神様に聞け」とまで言われているそうで…どのような経緯でICT担当になられたのですか?

神山さん:東京で工事係をしていたころは主に品質管理を担当していたのですが、現場で検査アプリの導入が決まったときに私が担当することになりました。試行錯誤しながらも導入・定着が滞りなくできたため、「神山はICTに強いらしい」という噂が立って、九州のある作業所から「現場のICT化を手伝ってほしい」と呼び寄せられました。
最初は熊本の大規模作業所で工事係と兼務でICT化の手伝いをしていて、そこの現場が竣工して長崎に異動になり、現在はICT担当として専任になったというのが経緯です。

現在、神山さんの業務一覧。多岐にわたり、きめ細かく丁寧に対応している。

きめ細かなマニュアルは、現場の使い方に合っていることがポイント

ーー現在の作業所では、どのような方がLINE WORKSを活用しているのですか?
神山さん:作業所長や所員、職長、協力会社、別途工事、さらに発注者様もひとつのLINE WORKSのテナントに入っていて、現在約800IDで構成されています。

私が配属した頃はLINE WORKSの環境はすでにありましたが、まだ数人のみの規模でした。熊本の作業所で初めてLINE WORKSを知り、使いやすくていいアプリだなと感じました。

ーー発注者様が外部トーク連携でつながるのではなく、ひとつのLINE WORKSの中に入っているのは珍しいです。良かったことはありますか?

神山さん:LINE WORKSでつながるようになってから、発注者様との情報共有のスピードが格段に上がりましたね。

長崎の作業所では、発注者様とのグループトークで、各担当者が日報をあげています。メールだと必要以上に堅苦しくなりがちですが、チャットでの報告はコミュニケーションが図りやすくなります。発注者様とも気軽にコミュニケーションが取れることは、良好な関係構築にも役立っていると思います。

ーーあまり例に見ない使い方ですね。LINE WORKSの活用で、何か工夫しているところがあれば教えてください。
神山さん:さまざまな会社や役割の人がLINE WORKSを活用しているので、表記名には名前だけじゃなく、会社名と担当を書くようにして、分かり易くするなどの工夫はしています。

名前に社名、担当を追記することでチャット画面でも所属が明確にわかる

神山さん:LINE WORKSの機能をいろいろ使っていて、特にカレンダー機能も重宝しています。

カレンダーと言っても、作業担当者一人ひとりのスケジュールを全体で共有するのはあまり意味がありません。大規模な現場では作業所も広くなり人員も増えるため、会議室などの共有設備の利用状況を全員で可視化できると便利です。

会議室は利用状況だけでなく何の会議で使う予定なのかがわかっていたほうが良いので、会議室のカレンダーを室数分つくり、関係者でカレンダー共有をして誰でもそのカレンダーに予定を登録・変更・削除できるようにして運用しています。

ーーLINE WORKSの機能をみなさんが使えるようになるには大変だったのではないですか? 独自のマニュアルも作成していると伺いました。

神山さん:そうですね、工事現場では作業工程に応じて追加で現場に入ってくる協力会社の方々がいます。入場されたら、まずLINE WORKSを登録してもらっています。直接私のところに来てもらい、1人ずつスマホを預かってアプリのインストールや名前の登録、グループに招待しています。コツコツ登録していたら約800人近い規模になっていました。

LINE WORKSは、LINEとほぼ同じように操作できるので、他のアプリに比べて圧倒的にみなさんの理解は早いです。ただ、みなさんが滞りなくデジタルに慣れてもらうためには、手順のひとつひとつをスクリーンショットして、わかりやすく目印をつけて利用するなど丁寧な操作マニュアルの整備が大事だと思っています。
同じツールでも、どんなマニュアルを作り、提供すべきかは、作業所ごとによっても異なると思います。作業所に常駐してみなさんと時間を共にすることで、みなさんの考え方や疑問点が理解でき、かゆいところに手が届くようなマニュアルが作れることに気がつきました。

神山さんが作成したLINE WORKSに関する操作マニュアル。インストール手順から、使用の目的別に必要な手順書が細かく用意されている。
作業所のみなさんが使う機能の使用マニュアル。どの機能を、どんな目的で、どう使うのかは作業所に常駐するからこそ把握できる。

究極は自分の支援がいらなくなる現場の業務改善

ーー今後、現場のICT化のためにどのようなことに取り組みたいですか?

神山さん:本社のICTキャラバン隊も、全国にある現場の生産性向上を目的に動いていて、遠隔で対応しないといけない場合もありますが、やはり「現場に来てほしい」って意見が寄せられています。私自身も、現場にICT担当は必要だと感じています。

現場内で困ったことが起きたときや問題を解決したいときに、ICT担当者が普段から現場に常駐して説明することで、状況把握にかかる時間だけでなく解決方法を導き出す時間は大幅の短縮され、より適切な対策を導けるはずです。

このような対応により、困っている側、支援する側、双方の負担軽減にもつながると思います。

もちろん、ICTキャラバン隊が掲げる「誰もがデジタル技術を活用できるようにする」の実現に向けて、どんどん自分の支援が要らないようにしていきたいと考えています。

工事現場のICTを推進するためには、電話やWEB会議で聞いた、困ったことだけを解決するのではなく、その作業所の仕事の進め方や働いている人たち(の状況)など、習慣や文化を知っておくのは大事だと思います。もちろん工事そのものを理解することも大事ですが。
そのような目に見えない情報も理解してICTを推進すれば、結果的に、早く現場の人たちがICTを使いこなすための支援ができるのではないかと思います。

長崎の作業所では、私の後任所員を配属してもらい、ICT教育に力を入れています。おかげで私はときどき長崎を離れて、別の工事現場でICT化の推進に取り組んでいけるようになりました。

現場では様々なことが起きるのでそれらを速やかに把握して然るべき対策を行うことが大切です。理想は、みなさんが自ら考え、デジタルを活用し、業務改善を行うようになって、最終的に自分のようなICT担当者による支援はもう不要だと言われるくらいにしていきたいです。
そうなったときこそ、本当にICT化が完了したと言えると思います。

神山さんの現場目線の考えがあるからこそ、現場に寄り添い、幅広い年代や協力会社も含めた大人数への対応により、現場のICT化がより早く進んでいくのだと感じました。

これからも大成建設のICT化を推進する活動においてLINE WORKSがお役に立てたらと思います! ありがとうございました!

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