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モネ

おなじみクロードさん。
知り合いじゃないけど、親和性が高い画家さん。オマエごときに言われたくない。おっしゃる通り。でもこのある意味しつこさ。丁寧さ。諦めない心。だけど押し付けがましくない優しい雰囲気。なんだろう。


今回は上野の森美術館。出展数は少ない。池も少ない。代わりにいくつかの連作。彼に限らず、連作で知られる画家はいるのだろうが、積みわら、教会、崖、エトルタ、ロンドンの橋、と見れば見るほど、同じ対象を取り巻くその時々の違う空気や湿度や明度に加えて見る側の心理描写も全て描き込むような作品に静かな迫力を感じないではいられない。

ロンドンの空気感はやはりコレよねと何回も戻ってみたこの絵。どんな気持ちで描いたのだろう。強さはさまざまな形をとるのだろうが、この人のやさしく静かな揺るぎなさは強いとしか言いようがない。

水面の描写にも驚かされる。近づくと筆跡は寧ろ粗々しい。絵の具が固まりで残って居る部分もある。しかし全体は溶け合って混ざり合って光を受けて揺蕩う水そのもの。池と川が違うものに見える流れの表現。

自分はなぜ同じものを書くかと聞かれたらそれしか書いてみようと思わないから、なのだが、もしかしたらモネも池しか描きたい気持ちにならなかったのかもしれない。そんなに追求するものに出会ったモネ。人生を何をもって幸せというのかはわからないがある意味ラッキーなことかもしれません。

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