強迫性障害(OCD)#1「悪魔の縁起恐怖」

強迫性障害(OCD)には様々な症状があるが、その中に不潔恐怖というなんともイヤな症状がある。

しかし僕が悩まされているのは、バイ菌やヨゴレなどの潔癖的な汚さではなく、縁起恐怖的な汚さである。縁起恐怖的な汚さとは何か。強迫性障害には、縁起恐怖という症状がある。そこに潜む汚さは、「不潔」という汚さではなく、「なにか悪いことが起きるのではないか」という汚さである。この汚さはある種の恐怖だ。

これは僕の場合の症状だが、例えば、とあるソファに座ったら、嫌な事が起きた。以来、そのソファに座れなくなる。そのソファに手が触れただけでも、視界に入っただけでも、外出先でそのソファが思考に一瞬浮かんだだけでも、手が、目が、頭の中が汚くなってしょうがない。その手で他のものを触ったらそれが汚く思えるし、その目で他のものを見るとそれが汚くなるし、そのソファが浮かんだ後に考えた、思い浮かんだものが全て汚くなる。せっかく好きだったあの人形も、お菓子も、積み上げてきた実績も、すべて壊されてしまう。どんどん汚いものが増えていく。まさに自分で汚いものを広げてしまっている状況。人形もお菓子も例に過ぎない。すべての概念が対象。うまくいっていた人間関係や、楽しい思い出など形のないものも含めて。

こういった、縁起恐怖的な不潔恐怖の症例は、ネットを探してもYouTubeを探してもなかなか出てこない。なんでだよ。出てこいよ。本当に辛いんだよ。

強迫性障害に究極に打ちのめされた時、この世の全てから孤立してしまう気がする。家族も友達も、どんなに優秀な医者でさえわかってくれない。仮に精神科医のジークムント・フロイトをはじめとする偉人たちに会って話せたとしても、共感してくれない。寧ろ達観すらしてしまうが、やはりこの世の全てから孤立した気分は、それはもう、絶望である。お仕舞いである。自分が終わったという実感がする、地獄である。


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