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楽しい不動産英単語 第26回 - 街並みを考える Enjoy English Expressions for Properties Vol.26 - Considering the Cityscape

<文章からバーチャルな不動産を想像して楽しもう!>
<Fun Reading for Imagining the Virtual Property!>


見切り発車的に始まった、「楽しい不動産英語」ですが、調べれば調べるだけ面白い情報が出てきて、ついに26回となりました。
ここで、
不動産を見て、街並みを見ない、ということは、片手落ちだなと感じ、
今回は、

街並み cityscape

について考えてみます。

街並み(または町並み)に該当する英単語は、
cityscape の他にも、
townscape、
street of houses、
street lined with houses、
town scenery
など、
言い方がさまざまです。

また、ここでは住宅街の意味の街並みですが、一般には、カフェやショップが並んでいる場合も街並みと言いますので、その場合は、the look of the town、とか street of shops とかになります。

不動産について考えるとき、買う対象(または借りる対象)は、個々の物件ですが、まさに不動、つまり後から動かせないので、周囲の環境 surrounding environment がとても大事になってきます。

住環境、を表す英単語は、
living environment、
living climate、
dwelling environment

など多数あります。
これもZillow で見たように、
学校のエリアであるとか、
アメリカの場合は口に出せないけれどもみんなが一番気にする、
自分のエスニシティ(民族的帰属) ethnicity などが、
通勤時間やネット環境などに加えて
上がってくると思います。

最近よく考えること

に、
家だけじゃなくて、街並みも作って欲しい、
というのがあります。
人任せではなく、自分が作るべきなのでしょうが、
こればかりはすごいお金のかかることで、
個人ができることではありません。

例えば前回はアメリカの超高級住宅を見ました。
ランキングに選ばれた高級住宅地は様々ですが、
多くの場合、
海があるとか山があるとか、素晴らしい自然の特徴を、
お金のかかる技術力で 住みやすい環境に変えながらも
自然の美しさと調和させて住む、
そういう家が区画されて、街並みを作っているようなところが、
選ばれていると思います。

振り返って、
日本の一般庶民は、
地盤のしっかりしたところを自力で探して、
その上に安く上物を作って住むしかないですよね。

ということは、
昔から人が住んでいたような場所は、
こまごまと家が建て込んでいて、
災害が起きた時には火が広がりやすく、安全度が低く評価されます。
が、実は地盤が良かったりします。
これは大都市の特徴かもしれません。


山手にはこんな坂がたくさん。若者は自転車で登り降り。年配者は大通りからバスかタクシー

一方、昨今では
大規模開発の埋立地などに、
高級なタワマンが立ち並び、
万一震災で火事になっても安全度が高い、
と評価される街並みがたくさん出てきました。

お金を持った人たちがよそからたくさん流れ込んできて、
そういう物件を埋めていきます。
昔からごちゃごちゃ住んでる地域の住人は、
置いてきぼりにされたような悲しさと、
昔は人が住むところじゃなかったところに
住まわせていいんだろうか
という老婆心が心をよぎります。

水に近いところは、
それこそアメリカ式に、
綺麗な区画の低層超高級住宅街にすればいいのに、
と、考えるのは現実的じゃないのかしら。
向こう側の海が見えにくくなると感じさせる、
高層ビルがぼこぼこ立ち並ぶ景観より、
むしろ、
前回紹介したポート・ロイアルの物件みたいのを並べて、
豪華な街並みにすればいいのに。
と、思ってしまう。

1億円の物件を22個、
縦に重ねるんじゃなくて、
22億円の高級邸宅を平面にたくさん並べて売る方が、
地震にも火災にも強そうだし、
災害で壊れた時にも、
お金持ちなら自力ですぐ立て直してくれそう。
でも、集合住宅となると、
みんなの合意がなければ建て直しもできないから、
問題を放置する期間が長くならないかなあ。
それに、
3階建てが崩れるのと、タワマンが崩れるのとでは、
災害のインパクトも随分違うんだろうなあ。
想像したくないけど。

一億円のタワマンも、22億円のポート・ロイアルも
買えない人間のタワゴトです。
聞き流してください。

参照:

そして、
昔から人が住んでてごちゃごちゃしてるけど
地盤の硬いエリアこそ、
綺麗に片付けて地盤を整備し直して、
低層マンションにしてくれればいいのに。

実は、

東京の山手には、

道一本隔てて谷の上と下、というような絶壁が
数多くあるのです。
山の尾根みたいなところに、
両側及び頂上まで、びっしりと人が住んでいるわけです。
昔から、その時々の技術で斜面に擁壁を作り、
小さな土地も無駄にしない。
そういう擁壁の石垣の立派な石を鑑賞したり、
昔の人の生活に思いを馳せたりすることもありますが、
やっぱりちょっと怖いです。
家が密集していて、
都心部ではそんな崖にあまり気づかないけど、
確か、神奈川県の逗子で
マンションの下の擁壁が崩れて、
その下を歩いていた女子高校生が犠牲になったという、
なんともやりきれない悲しい事件があったのは
結構最近だと思います。

東京では森ビルさんなどの大手さんが、
細い家を買い集めて、綺麗な街にしてくれています。
以前は坂道をゼーハー歩いたところは跡形もなく、
エスカレーターとかで谷を跨いでくれてます。
それでも、
時々残っている、昔ながらの
道の中央に下水を流していた江戸時代の路地を発見すると、
ちょっとウルウルしてしまう。
きっと東京中合わせても、
下水道が真ん中に走っている江戸時代の路地は、
もう100メートルもないに違いありません。
測ったことないけど。

都心の真ん中にも実は緑の小山がある東京。昔から人々は斜面を上り下りしてきたのですね。それって、日本中、いろんな場所にあることのように思う。


ぐだぐだ言っていると、
じゃあ、どっちにしたいのかはっきりさせろ、と言われてしまいそうです。

つまり、
イギリスみたいに昔のものを保存し、
アメリカみたいに、新しい住居区画を作るときは街並み全体を考えてくれないかな、
っていうことです。
できれば高層ビルはちょっとパス。
これから人数が減るのに、
たくさん空いたら困るっていう、経済的な面もあるけど、
中東あたりで流行っている
「1000メートルのビルが建てられるか」競争、みたいのに、
向こうで参加するのは勝手にやって欲しいけど
(実は日本が優秀だと密かに嬉しい私)
日本に持ち込まないで欲しい気がする。
日本の技術や建築家の優秀さは、もうみんなわかっているんだから。

もちろん、
麻布台ヒルズのような場所には、
憧れるし、
私なんかが思いもつかない
防災技術やSDG技術が詰まっている上、
みんなが集まるから空室になる心配もないのでしょうけれど。
昔の街並みを覚えている私は、すでに前世紀の遺物か。
少なくとも昭和の遺物ですね。
参照:麻布台ヒルズ 

日本で高級住宅街と言われるところの多くは、
邸宅の間に小さな庶民のおうちも
挟まっていたりします。
最初から都市計画がなされていて、
同じレベル以上のお金持ちが軒を並べている場所は、
田園調布ぐらい?
私が知らないだけかもしれません。
日本が誇る
京都南禅寺界隈の別荘庭園群みたいに
全てを造ってくれと言っているわけではありません。
あれはもう美術館レベルですね。
でも街並みって、不動産を考える時に大事です。

ではここで、
アメリカ発祥で世界的に活動している

ULI (Urban Land Institute)

のウェブをご紹介します。
建築技術や景観を含む街並みまで、多角的に不動産を分析しリサーチを行っっている
世界的ネットワークを持つ non-profit organization 非営利団体です。

ミッションステートメントは以下のようです。

ULI is the oldest and largest network of cross-disciplinary real estate and land use experts in the world. ULI is its members. Through our members' dedication to the mission and their shared expertise, the Institute has been able to set standards of excellence in development practice.

The mission of the Urban Land Institute: Shape the future of the built environment for transformative impact in communities worldwide

<訳>
ULIは、分野を跨いだ、不動産及び土地利用の専門家が集う、世界最古にして最大のネットワークです。ULIは会員が構成しています。会員の使命に対する献身と専門知識の共有により、当研究所では、開発実践における卓越した基準を確立させることを、可能にしています。

ULI(アーバンランド・インスティテュート/市街地研究所)の使命:世界中のコミュニティに、変革的なインパクトを与える建築環境の未来を、形作っていくこと

<訳中と単語>
cross-disciplinary  「分野を跨いで」直訳では、学際的な というのが当たりますが、いくつかの専門分野にまたがるという意味で、このように訳しました。disciplinary 訓練の、学問の、専門科目の、という意味で、そこに cross 交差する、渡る、という意味がつきました。

transformative impact 「変革的なインパクト」と訳しましたが、transformative は、変化させるとか、変形力のあるという意味です。impact はカタカナ語にしましたが、影響という意味です。

数多くの研究エッセイが載っていて、街並みの美しいトップテンに関するリポートなどもありますが、登録しないと読めないものも多いです。

参照:ULIの日本支部

不動産とお勉強が好きな方、あるいは建設業界の方は、会員になられるのも良いのかもしれません。アジア・パシフィック支部に日本もあり、2024年にもカンファレンスが開催されるみたいですよ。


今回で、「楽しい不動産英単語」は一応終わりとします。
長らく読んでくださった方、ありがとうございます。
自分の勉強のための駄文だったと、反省する点もありますが、いろいろ勉強になりました。
次は、不動産英単語A~Z を開始したいと思っています。
よろしくお願いします。


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