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曾祖母が最期にさばをよんだ

私が3,4歳だったころ。
祖母とよく曾祖母のところへ遊びに行っていた。(曾祖母は祖母の母親)

曾祖母は農家だったため畑をもっていて、私はそこで元気よく遊んでいた。
ついでに畑の野菜ももらっていた。

春の暖かくなってきたころ。
私は曾祖母と畑にいた。

そしたら近所のおじさんが写真を撮ってくれた。
曾祖母と並んで、春の陽気の中撮ってもらった。

しばらくして、広報誌にその写真が載った。
しかも表紙になっている。とっても良く撮れていると家族で話題になった。
いつの間に投稿していたのだろうか。


それからずいぶん時が経って、曾祖母が亡くなった。
老衰だった。

葬式に出た私。曾祖母への別れの言葉を述べた。
曾祖母の家に嫁いだ女性が葬式に飾った祖母の遺影について話した。


広報誌の表紙になった写真を遺影に使っているとのこと。
曰く、曾祖母の写真で一番良い笑顔だったようで、遺影にしたらしい。

写真を撮ってもらってから10年以上経っているのに。

たしかにいい笑顔だし、あまり見た目は変わっていないが、
曾祖母は最期に10歳以上もさばをよんだのだった。

春に広報誌を見ると、ふと思い出すのだ。



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