見出し画像

真夏に作られた紅玉紅茶で、残暑を楽しみましょう。

台湾の紅茶を代表する紅玉紅茶を是非皆さんに紹介したいと思って、再び南投の茶農家、小茶米の連さんに連絡しました。

👧「去年のコンテストで優良賞を取った紅玉紅茶、美味しかったですね。今年はどんな感じですか?」

👨「今年はまだコンテストが始まってないのだが、ちょうど先週夏の製茶作業が終わって作りたての夏茶があるよ。夏と真夏のどっちが良い?」

👧「え、夏と真夏、何が違うの?😅」

👨「夏は5月下旬に作られて、真夏は7月の下旬に作られたのだよ」

なるほど!夏にも1回目と2回目の製茶時期があるのですね。

お茶の生産は常に24節気でお仕事が動いています。5月下旬の節気は、立夏の次の「小満」にあたり、7月下旬は立秋の一個前、「大暑」にあたります。

よく考えてみたら、大暑だった先週は本当に暑かったですね。

そして今週に入って少し過ごしやすくなった気がして、やっぱり先人の知恵はすごいな、と改めて思いました。

連さんから2種類のサンプルを頂いて、早速テイスティングの道具をセット。

去年の優良賞を基準にして一緒にテイスティング

「あれ?大暑に作られ、つまり2回目の方が美味しい!」と意外な結果ができました。

通常は、一番茶が一番美味しいと言われています。
夏の2回目の製茶は、もはや日本の三番茶にあたる時期になり、あまり美味しくないと思っていたのだが、その常識がテイスティングの結果と違ったので早速原因を調べてみました。

発酵中の紅茶

「そもそも、緑茶、烏龍茶、紅茶の製造工程が違い、求める物も違う」ということでした。緑茶や烏龍茶は、(カテキンが)未発酵や半発酵であり、紅茶はカテキンも、フェノールも全部発酵されて斬新な風味が生み出されるのが楽しみです。「良い紅茶」を判断する時に、緑茶や烏龍茶の基準ではなく、ダージリンやアッサム紅茶の基準を知るべきです。実際、一番上質なダージリンはセカンドフラッシュ、つまり二番茶とのことですが、二番茶の時期は紅茶のしっかりした渋みとボディ感が出せ、そしてマスカテルフレーバーが形成できるポイントになるウンカの繁殖期にも合っています。

ウンカ

紅茶の世界では三番茶を「オータムナル((Autumnal)」と呼びます。

収穫の時期は7月下旬からですが、「この時期のお茶は年間を通じて最もマイルドで、特に元々個性の強い茶種で作られた紅茶も程良い仕上がりができ、紅茶が苦手という方にもオススメ」とのことです。

紅玉という品種は、台湾在来の「台湾山茶」とミャンマーのアッサム種と交配された新しい品種であり、独特な「シナモンとミント」の風味が出ます。その香りが時々強すぎて、私でさえ苦手な時もありますが、その原因がよく分かりました。他の品種は、できるだけ自分の独特な香りを出すのが目標ですが、「紅玉」という品種だけはちょっとマイルドの方が、私には飲みやすくて美味しい、という結論が出ました。そして他の人に紅玉紅茶を推薦する時も、マイルドなオータムナル(日本では三番茶、台湾では2回目の夏茶あるいは真夏と呼びます)から薦めた方が良いかと思いました。もちろん、セカンドフラッシュの強い香りを楽しめる方も沢山いますが、少しマイルドな、上品なオータムナルの紅玉紅茶で残暑を過ごそうと思い、今回こちらのお茶を皆さんに提案します。


お茶請けは、宜蘭の金棗糕(ジンツァウガオ)を提案します。

金棗とは、宜蘭県民によるキンカンへの愛称。楕円形の長実金柑は、台湾で唯一の産地、宜蘭の代表的な作物。甘塩っぱいな味付けは、昔からの無添加喉飴。

宜蘭で沢山成長している金柑を塩と砂糖で保存食にしたら、風邪気味の時にビタミンCの補給や、普段の喉ケアに凄く良いと言い、ある中医師がこの金柑の漬物を作り始めました。長実金柑は、黄色の棗のように見えて、そして漬け込んだ物を「膏(ガオ)」と呼びますが、昔から誤植で「糕(ガオ)」という同じ発音の漢字を使ったまま、現在の「金棗糕」という名前になりました。

長実金柑の木と花。柑橘類の特徴がわかります。

台湾では、砂糖とバランスと取るために甘い物に塩を入れるのが人気で甘露煮よりもこのような甘塩っぱいの「蜜餞(ミージェン)」がよく見かけます。今回使用するのは、宜蘭礁渓の老舗「橘之郷」の無添加の物です。成分は、金柑、塩、砂糖、水飴。

・台湾茶|大暑の紅玉紅茶
夏は紅茶の生産季節であり、24節気の立夏〜大暑(5月上旬〜7月下旬)の間に作られるお茶は夏茶と呼ばれる。台湾紅茶を言えば日月潭の紅玉紅茶。大暑に作られた紅玉紅茶で残暑を楽しんでいきましょう。

・台湾お茶菓子|宜蘭礁渓の金棗糕
金棗とは、宜蘭県民によるキンカンへの愛称。楕円形の長実金柑は、台湾で唯一の産地、宜蘭の誇り。甘塩っぱいな味付けは、無添加の喉飴。 昔から、秋と冬の喉ケアによく使われ、素朴なおやつとして長年の人気手土産にもなっています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?