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蜜香紅茶の故郷、花蓮舞鶴。

蜜香紅茶は、先月の東方美人茶と同じように、ウンカに噛まれ甘い香りが出る「蜜香」のカテゴリーに属しており、蜜香茶の中で一番代表的であります。

花蓮の舞鶴という村で、「大葉烏龍」という品種のお茶が栽培されています。この品種は、昔から青心烏龍と並ぶように、全国で沢山栽培されている有名な品種でしたが(青心烏龍は現在高山烏龍茶の製作に一番多く使われている品種である)、現在は花蓮の舞鶴でしかある程度の面積が残されていません。大葉烏龍は1910、20年代から烏龍茶の原料として使われていたが、70年代より青心烏龍を使った高山烏龍茶が主流となり、大葉烏龍の栽培面積もだんだん減少されてきました。

花蓮県は、実は阿里山と同じ緯度に位置しているとはいえ、海抜が低く、高山烏龍茶のような涼しい気候ではなく、分厚い茶葉に成長できないので、烏龍茶にしても味の深い高山茶に勝てないので、研究者たちは緑茶と紅茶の方向に研究を進み、特に蒸し暑い夏にウンカが多く繁殖し、酷い虫害を受けた茶葉を全発酵にして甘い香りを持つ蜜香紅茶が生まれました。「蜜香」茶は、紅茶の世界では「マスカテルフレーバー」という言葉で同じ香りを表現し、ウンカに噛まれたことで甘い香りを持つお茶のことを示しています。夏摘みのセカンドフラッシュのダージリンが、一番マスカテルフレーバーが強く、紅茶の女王あるいは紅茶のシャンパンと呼ばれています。ダージリンの茶農園で栽培されるチャノキは、海抜2000メートルそして緯度は27度で、台湾の中部地方は23.5度よりやや高いので、比較的に寒い地域にあり、インドの他の地域で栽培されるインド原種のアッサム種(Cameria sinensis var. assamica)ではなく、1841年からイギリス人がインドに持ってきた中国種(Cameria sinensis var. sinensis)が主流でしたが、今は新しいクローナル種 (Clonal Variery)といったさらにその地に適応するために改良された品種が流行っています。

小さなウンカが、茶葉と不思議なハーモニーを生み出す

蜜香紅茶と比べると、同じく中国種のチャノキで作られたお茶なので、夏摘みのダージリンを花蓮の蜜香紅茶と飲み比べをすれば東インドと東台湾テロワールが味わえ、楽しめます。

花蓮の舞鶴は、ちょうど海岸山脈と中央山脈の間にある谷に位置し、夏になると山からの湿気で蒸し暑く、ウンカが沢山繁殖します。さらに、環境にやさしい有機農業やSDGsの理念が広がったことで、農薬の使用をやめたらウンカの繁殖量も以前より多くなり、さらに良い品質な蜜香紅茶が生まれました。


花蓮舞鶴の蜜香紅茶
夏にしか作られない蜜香紅茶は、国内外問わず人気があります。「紅茶の女王」と呼ばれる最高級なセカンドフラッシュのダージリンと同じく、ウンカの噛みにより「マスカテルフレーバー」という驚くほど甘い香りが楽しめます。お湯でほっこりな一服でも良いですが、水出しで残暑を過ごすのも、とてもオススメ。

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