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【SS】1分しまうま②|#毎週ショートショートnote

「井上!散髪に行ったんだな。」

植物学者の木下は、髪が短く整った助手の井上に声をかけた。

「はい、暑くなってきましたしね。博士も床屋に行かれたらどうですか?近々学会もありますし。」

「うむ。しかし、なんか行くのが面倒でな。実はいつも自分でバリカンで刈っていたんだよ。」

「そうだったんですか!(だから髪が不揃いなんだな)では、これを機に床屋へ…」

「いや、井上。お前が刈ってくれないか?自分でやるよりマシだろう。褒美も出すぞ。お前の好きなアレを買ってやってもいいぞ。」

「え?アレを!? では、是非刈らせてください。」

翌日バリカンを持参した博士は、助手の井上に髪の刈り上げを頼んだ。博士はいつも長めの坊主狩りなので、失敗したとしても、まぁなんとかなるだろう。

「五分刈りで頼むよ。井上。」

井上は頑張ったが、失敗だった。五分を通り越して一分刈り、しかも虎刈…というよりもシマウマ柄になった。

アレは…もちろん買ってもらえなかった。


[406文字]

最近はさっぱり植物研究や観察に向き合っていない気もしますが、博士と助手の日常を描いているようで、ちょっぴり楽しかったりもします。
ところで、井上の好きなアレって何なのでしょうね?

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