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【SS】しゃべる未曾有|#毎週ショートショートnote(裏お題)

空が見たこともないような色に染まっていた。
このような空の色は
今まで見たことがないし聞いたこともない。
村の長老も「こんな空は初めてじゃ…」と言う。

海の向こう側へ太陽が沈むにつれ
まるで海水に溶け出しているような輝きと
炎のような色が空へ水面へと広がっていく。
村人たちは仕事の手を休めて海へ
その光の色の行方を確かめようと集まった。

天変地異の始まりかもしれない…

村人たちは恐怖に包まれながらも
その夕焼けを、ただ眺めていた。

気がつくと、森の動物たちも
海辺へ集まり空を仰いでいる。
彼らも異変に気づいているようだ。

あぁ、この世の最期の時が来たのか…

誰もがそう思った時、

「うわぁ、すごいな!」

透き通る声が響いた。
子どもの声のようだ。

「なんてきれいな夕焼けなんだろう!」

声の主は、森から出てきた
小さな小さな象の子どもだった。

恐怖と不安が消え去り、みな笑顔がこぼれる。

本当に美しい夕焼けだった。


[408字]   博士出番無し

小さな小さな象の子…→ミニ象→みぞう→未曾有
であります。まぁ、なんて苦しい言い訳!
象がしゃべるなんて、それも未曾有なことでしょ?

未曾有は良くないことが起きる時によく使われますが、本来は仏の悟りを得たような珍しい奇跡の意味だったようです。そっち方面で書いてみたつもり…

#毎週ショートショートnote
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#しゃべる未曾有

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