見出し画像

【SS】朝の逆転②|#毎週ショートショートnote

「夜なのに、朝顔が咲いているぞ。井上!」

植物学者の木下と助手の井上は新種発見のフィールドワークを続けている。

「博士、ヒルガオ科サツマイモ属のヨルガオではないのですか?」

井上の言葉に博士は、

「いや、ヨルガオとアサガオは似ているが、葉の形状が違う。ヨルガオなら卵状心臓型だが、この花の葉はアサガオと同じ広三尖形をしている。花の色もヨルガオなら白だが、この花は紫色だ。どう見ても、アサガオだ。今の時刻は夜の8時過ぎなのに…」

「確かに見た目はアサガオです。不思議ですね。夜に咲いているなんて… もしかしたら新種でしょうか?」

「新種というより、環境の変化による変異種と考えた方が良かろう。普通は日照時間によって開花時間が決まるのだが、ここだとどうなんだろう?」

「そうですね。ここだと… どうなんでしょう。」

二人はレイトショーで懐かしい『陽のあたる町』を観るため、映画館の中にいるのだった…


[405文字]

本当に、ほとんど真っ暗な環境でアサガオを育てたら、どうなるんでしょう…  

#毎週ショートショートnote
#ショートショート
#朝の逆転

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?