永久欠番のあなたへ|#青ブラ文学部
高校時代に別れてから…あなたはそのまま永久欠番。
高校三年の時に理系を選び、私を含めて五人しかいなかった女子同士で頑張り合っていた。勉強もしたし、恋話もしたし… 趣味の話もたくさんした。
私は読書やイラスト描き、コーラスが趣味だったので、コーラスはまぁ部活で発散していたけれど、文庫本を持参して「この本面白いよ」とか意見交換していた。で、たまに漫画も持って来ていた。
私はその頃、少女漫画雑誌より週刊少年◯◯風な漫画にハマっていた。大好きだった石森章太郎(当時は石ノ森ではなかった)の作品が文庫本タイプで出版されているのを知り、小遣いを漫画収集にほとんど使っていたかもしれない。『サイボーグ009』や『佐武と市捕物控』『幻魔大戦』とか揃えていた。
『サイボーグ009』はクラスの女子(五人だけど)の間で人気になり、SさんKさんMさんTさんの順で回し読みしていた記憶がある。で、Tさんは読むのがゆっくりなので彼女のところで数冊溜まって返却が遅れることが多かった。でも、同じクラスだし特に気にしていなかった。「009ってカッコいいよね」と、しみじみ感想を伝えてくれるのも嬉しかったし。
確か11(か15)巻まであったと思う。(実家に置いてきたから詳細は忘れた)『サイボーグ009』の最終巻は、とうとう戻って来なかった。大学受験が思うようにいかなかったらしい彼女に、本の返却を迫るのも気が引けたし。「卒業式までには返すから…」でも、返ってこなかった。
あの漫画が彼女の心の癒しになっていたのなら、それでいい。
石森章太郎先生が亡くなられて、本当にそのまま続編が無くなってしまったのが残念でならない。未完の完、そして永久欠番になってしまった『サイボーグ009』の最終巻。
[約700字]
私は004が好きだったな…
アルベルト・ハインリッヒ。
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