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【SS】桜回線|#毎週ショートショートnote

「おはよう。こちらの世界は、今、花粉でいっぱい。私は花粉症じゃないけどさ。そちらでも花粉が舞っていたりするの?天国だと、良い匂いに包まれて、花粉症にはならなさそうだけどね」

古い電波塔の下で、亡くなった友に思いを馳せる。

桜が校内にはらはらと舞う季節、共に入学し学問を修めた。毎年、春になると学内あげてのソフトボール大会があって、私は彼に誘われるままチームを組んで、けっこう勝ち進んだりしていた。

好きな教科の先生が他大学の教授になった時も、一緒にその大学へ乗り込んで聴講したりした。楽しかったな。

大学院へ進み、自分のゼミを持つ人気教授にもなったけれど、私たちに「また集まらない?」と同期会の声かけをするまめな人でもあった。

「去年の同期会で会えなくて、それじゃ花見の季節にでもまた会おうかと話していたのに」

小高い丘の古い電波塔。日当たりが良くて、ひと足先に桜がちらほら咲いている。

「桜、見えるかな?」

花びらが一枚空へ舞っていった。

[412字] noteエディターカウンター値

魅力的な台詞で始まって…いるかは疑問ですが、ちょっと近況を絡めて綴ってみました。
桜の花びらが手紙代わりのような…天国とつながる回線のつもりで書いてみました。

#毎週ショートショートnote
#ショートショート
#桜回線

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