【SS】結婚式ゾンビ②|#毎週ショートショートnote
「井上はゾンビパウダーを知っているかね?」
植物学者の木下は、何かの粉末を調べながら、助手の井上に聞いた。
「いいえ、知りません。博士。」
「研究所から成分調査依頼があってな。ほら、この茶色の粉末がそれだ。」
「腐葉土みたいですね。で、何なんですか?」
「呪術と共に用いて死者を蘇生させる力があるそうだ。」
どうしてそんな怪しい物の研究に力を貸さねばならないのか…不思議に思った。
「死者を蘇らせるって… 何故ですか?何のために?」
「結婚式を亡くなったご両親にも見てもらいたいそうだ…」
「はぁ… で、誰の結婚式なんですか、博士?」
「井上も知っている研究所のキャッシーだよ。ご両親はずっと、娘の花嫁衣装を見てから死にたい…と病床で言っていたそうだ。」
「そうなんですか…」
ただの腐葉土にしか見えないゾンビパウダーだったが慎重に取り扱い、調査を進めた。しかし、成分は不明な点が多かった。
気がかりは他にもあった。火葬されても有効なのかどうか…
[410字]
無理矢理な感じですが、相変わらずの博士と助手です。怪しげな研究でも、仲間のことを思えば一肌脱いで頑張っちゃうのが博士と助手。研究に没頭し、ゾンビパウダー吸ってゾンビにならないで…と思いながら書いていました。
ゾンビパウダーって、本当にあるんだかどうかわかりませんが、一応Wikiにも載っているし… このお話では「ある」ということで。
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