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ドクターXには基本出会えない

前回のあらすじ....

 入院となると、原則手術をする事になるものと思っていい。一応検査入院として経過を見ながら退院できるかどうかを判断することもあるが、自然に塞がるのを待つパターンは少ない。なぜなら気胸が自然に治る状況というのはそう多くなく、痛みを発している時のレントゲンを見ると、ほぼ肺が萎んでいる時である。

 レントゲンを見たら本当に肺というのは風船みたいなものだという事が分かる。空気が漏れれば半分ぐらいのサイズまで縮んでしまう。これの何が危険かというと、漏れ続ける事で空気の逃げ場がなくなり、心臓を圧迫してしまう。心臓が潰れることは無いと思う。さすがにその状況となる前に倒れて、病院へ運ばれると思うから。勿論そのまま続けば潰れる、物理的に。

 そうなる前に穴が塞がって自然に戻る確立より、さらに空気が抜けて心臓を圧迫する確立の方が圧倒的に高い。なので、自然に塞がるケースはほぼ無いと思っていい。もしあるとすれば、レントゲンを撮った時の肺が9割ぐらい映っている状況の時ぐらいだ。それ以上萎んでいたら、体に吸収される空気の割合を越えるだろうから、諦めるしかない。

 今までの気胸はほぼアウトで、心臓を圧迫しないように体に穴を開けて空気を逃がす作業がほとんどだった。空気を逃がしてあげられれば、塞がる確立は上がる。

 ちなみに穴の大きさは関係なく、少しでも穴が開けば当たり前であるが、空気は漏れ出す。倒れるレベルの気胸の時は、恐らく縫わなければならないぐらいの穴だと思われる。

それを3年ぐらいの間に複数回発生していたというのだから、ひ弱な体だといわざるをえない。

 通院時の場合は小さめのドレーンであるが、入院してしまうと大きいドレーンとなる。また、ドレーンも携帯向けではなく、がっつり大きめの装置となり、キャリーバッグみたいな感じに引く形となる。正直空気を逃がす為の装置ぐらいにしか思っていないので、大きくする意味が分かっていないのだが、重度の気胸だと空気を逃がすには、それに耐えうる性能にしなければならないのかもしれない。

 また、通院時の穴は小さめだったのだが、キャリーバッグサイズの装置にもなると、管もそれなりに太くなるので、地味に痛い。時々苦しくなる時もあった。

 そして、ここからは医者の話になるが、同じ病気をずっとやっていると、何人かの医師に処置をされるのだが、上手い先生とヘタクソな先生との差というのが分かってくる。

 良い先生だと傷口が目立たない場所からメスを入れて、傷口の大きさも最小限に抑えてくれる。しかし、ヘタクソな医者だと効率を最優先させなければならないのか、場所なんて気にしないし、傷口も大きい。医師を疑いたくないものの、同じ処置をするときの早さがどうしても分かってしまう。苦戦している所を見ると、不安になってしまう。実際管を挿入するのに手こずられた為、正直辛かった事を覚えている。やってもらってる立場でいうのも申し訳ないが、病人の運命は医者で決まるというシンプルな結論に達した。そして、その腕の良い医者を引き当てられる確立は、我々が思っている以上にだいぶ少ないと思う。

 後、ナースの質だ。可愛いとか綺麗とか、そういう話ではない。話をしっかり聞いてくれる人と、そうじゃない人との差が激しい。

 いくつかカルテを作る為なのか、問診が入るのだが、その時に「趣味・スポーツ」の項目があり、選ばなければならないのはスポーツですか?と質問したつもりなのに、ナースが「趣味はスポーツですね」と、人の話を聞いていないであろう解釈をしだした。お前人の話ちゃんと聞けよ、俺が発したのはアンサーではなく、クエスチョンだよ!と。

 良い患者でいたいとは思うものの、人の話をしっかり聞いてくれない人が担当になると、やはりイライラしてしまうもので、その時社会人になったら、絶対人の話は聞かないと後々泣きを見ることになるだろうなと言う事を、この瞬間に学んだのである。

 入院生活とは、人間観察を出来る機会でもあり、仕事が出来る人と、ダメな人の差を垣間見ることが出来るので、入院してしまう状況の人は、余裕があれば人間観察をオススメしたい。

 次回は転院をすることになるのだが、その時の状況を綴ろうと思う。

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