田舎のカフェ
父親のお見舞いで実家に帰省していたのだが、やはり人数制限があり、病室へ行くことは出来なかった。
私はあくまで付き添いで病院へ行ったので、正直やる事がない。だからこそ、近くにあるカフェで一休みしていた。
田舎なので一休み出来るカフェを見つける事は難しいかもしれない。そんな事を思っていたのだが、私のカフェに対する探索能力は高い。すぐに良さげなカフェを見つけた。
店内に入ると、60過ぎのおじさんマスターと一人の男性客が居て、オシャレというオシャレなカフェとは言えないものの、カフェらしいカフェであった。すかさず私はカウンター席がある事に気が付き、すぐカウンター席に座らせてもらった。
用途にも依るのだが、カウンターのあるカフェであれば基本的に私はカウンターに座る。なぜならマスターと会話をする事が出来るかもしれないからだ。
実は私はカフェに行って一人で寛ぐ事もあるのだが、カウンターでマスターと喋るのも好きなタイプである。だからこそ、バーへ行けば何らかの会話をする。それだけに、先客が居て会話をしている状況だとハズレの日に来てしまった感覚となってしまう。今回は当たりだったという事だ。
手術の時間もそんなに長くはならないと思っていたので、とりあえずケーキとアイスティーを頂き、マスターと他愛もない話で盛り上がっていた。マスターがカフェをやりだした切っ掛けや、売り上げの話、売れなくても悠々自適に過ごすことが出来ている事等、恐らく2時間ぐらい話していた。つまり、手術もそれぐらい長丁場になっていたという事である。こちらとしても聞きたい話を聞くことが出来ていたのでつい話し込んでいたのだが、そもそもこのカフェに来たのは時間つぶしなので、手術の待ち時間を考えると時間がつぶれすぎるのはおかしいのである。まあ、手術自体はちゃんと進んだのでこうしてエッセイを書けるのだが….
話していてやはり面白かったのは、定年を迎えてからのカフェ営業。老後の趣味みたいな生き方。私が憧れる生き方をされている。私もカフェをやりたいと考えており、理想のカフェをやっている印象だったのだが、やはり売り上げは悪いらしい。しかし、出ていくお金がそもそも少ないというのと、そもそも稼がなきゃならない状況でもないからこそ、今のスタイルでも問題ないとのこと。これが従業員を雇うとなれば、運営するのは無理だとも言っていた。専ら趣味の自分が過ごしやすいお店としてやってるとの事。
本当はこういう生き方が出来ると楽しいのだろうが、それを可能にする為に、定年までしっかり働いてきたからこそ出来る事なんだろうと思う。
今度は精神的に落ち着いている時にまたお伺いしてみたい。精神面に関しては手術ではなく、別件で苛立っていた事もあり(というか今も実は苛立っている)、若干リラックスしきれていない状態で過ごしていたので….
とはいえ、ここに来たきっかけが病院であり、しかも私が住んでいる場所でもないので、やはり訪問頻度は年1あるか無いかという形になるだろう。
仮に私が住んでいるエリアにこのお店があれば、週1ぐらいの頻度で喋りに行くかもしれない。そういう場所ってやっぱり良いものだ。
私が完全フリーランスとして独立したら、カフェに喋りに行くような生活をしたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?