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遠き隣人

第1章 プロローグ

《ようやく苦労が実ったのかぁ•••。》
私は、以前お世話になった学校からの帰り道を駅へと足早に向かっていた。

お世話になったと言っても、大学時代に受け持った教育実習の学校でたまたま、臨時講師として赴任していたが、先日めでたく教員として隣街の女子校の就職が決まりその報告に来ていたのである。

理事長の鈴木氏にはよくしてもらったからである。
2週間ではあったが、“いく度となく”足を運んだ学校だったので、見慣れた景色を見ながら、校舎から駅へ続く坂道を下っていった。

2週間というと、臨時講師期間中には短く感じられるくらいの時間で、14日、336時間、20160分、まぁいいか。
てな具合に過ごすのが、普通の講師にとって当たり前である。

しかしながら、実際には長く長く感じられると思う講師も中には存在する。

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