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昭和の交通安全ハンカチ うちにあって 日本の一般家庭の1%未満にしかないだろうと思うものを挙げてみる その12

なぜこんなものを取ってあったかわかりませんが、実家を整理した時ネタになりそうな気がして残したような記憶があります。

幼稚園でこれをもらい、家で母と交わした会話も何となく覚えています。

「このハンカチを振って渡りましょうと書いてあるけど、出すのは面倒くさいね」
「お母さんが迎えに行くから振らなくていいよ。第一道路で落としたりしたらなお危ないし」

黄色い旗代わりに交通安全というアイディアはわかりますが、ポケットなりバッグなりから出して振ってその後必然的にしまうというのは、現実には面倒だったので、子どもがこれを振っている姿を見たことはありませんでした。
ただ残っているのはこれ一枚でも、小学校一年生まで毎年もらったような気もするのです。
名前の欄の左下にあるマークは、確か市内のタクシー会社だったと思うので、交通安全のために子どもたちに配布したのでしょう。
素晴らしい心がけです。

ネタになると思ったのは、黄色いハンカチの用途というより何と言ってもこの絵です。

遠景に見える橋や山々から、この市を描いた、というより旭川の子どもたちのために描かれたことがわかります。

そしていくら昭和40年代の地方都市と言ってもハンカチに印刷して配布するにしては恐ろしく稚拙な絵柄がどうにも愛おしく感じるのです。

いくら遠近法だと思い込もうとしても子ども達に比べてトミカ並に見えてしまう車。
むっちりとした素足はソックスも履かれることなく裸足のよう。
背中には当時は珍しいランドセルの青。
どこか外国なら採用してそうだが日本にはない格子状の横断歩道。

これは誰がデザインしたのでしょうか?
タクシー会社の人? 印刷を請け負った人?
どちらにしても
「え?絵を描けって言われても困ったなー 本当にこれでいいんですか?」
という素人の戸惑いを内包した絵です。自信満々であって欲しくはないレベルです。
もしこれがプロの手による物だったとしたら、昭和や地方ということで大目に見てもさすがに愛おしさではなくやばさを感じますが。

今ならイラストやもキャラクターもあり、ちゃんとしたデザインできる人もいて、そうでないならせめて明らかに子どもの描いた絵にするとかアドバイスする人もいて、これを印刷して(それもチラシじゃなくてハンカチ)配る奇跡みたいなことは起きなさそう。
ダサさや古さは度を越すと味わいになるのですね。

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