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レタリヲタ?カタカナ地名の赤面と旅情 礼文島(2日目)【専業旅婦は日本だって旅する その2】

とりあえず上の方から時計回りでいってみようか?

スコトンマリ
レタリヲタ
ヤンベオマナイ
ベシトカリ
ションナイホ
ヲチャラセナイ
ホロナイホ
ウヱンナイホ
ヲションナイ
ノトウシ
ベンザイトマリ
ホロトマリ
チイサントマリ
ウヱントマリ
ヲチカフナイ
ナイヲロ
ポンナイヲロ
トコタン
キトウス
ヲバシトロマナイ
カフカイ
エコキナイ
ヘウケトンナイ
ベッシュ
ワウシ
シャクニン
チヤシトンス
フンベネフ
シレトコマナイ
ビーサシ
ベンサシ
チャットコマリ
ウエンナイ
アナマ
テフネフ
レフタトマリ

クラクラしそうな おいしいカタカナ地名は、GoogleMapでは出てこないがMAPS.MEを拡大するとキタ。
レタリヲタ?ヲバシトロマナイ?ベッシュ? チャットコマリはネパールのネワリフードか?

このネワリ風ピザがチャットマリ

北海道では定番のアイヌ語由来のカタカナ地名だが、今ではどちらかというと山や川に多く残っている。が、礼文では集落名なのだろうか。
残っていると言うかGoogleMapにないので、今の正式な地名としてあるのかはわからない。ナイヲロの小学校が内路小学校とあるから、漢字を当てて残っているものもあるかもしれない。

ここはスコトンマリ
先に見えるのはトド島
トドはいるのか?
濃いブルーの海

高校生の時の友達は礼文から来ていた。
下宿をし旭川の高校に通っていたのだ。
田舎に高校があっても下宿しながら都市部の高校に通う生徒も一定数いる。それは今も昔もかな?
「レブン」という語感は、その頃旭川にまだ進出していなかった「セブンイレブン」とも相まって、ちょっと魅力的に響いた。
学年に下宿生の女子は入学後両親が引越した例を含め、学年で6〜7人。男子はもっと多く学年の1割程度はいたような。
中で礼文島から来たのは女子が二人。
友達の方は宗谷管内転勤族だったせいか、二人の仲は知り合い程度のようだ。

当時は個人情報概念なく、当然のように生徒の名簿にも住所、電話番号が記載されていた。小中のご近所だらけと違い、自宅通学でも「美瑛」「当麻」「深川」などの近隣市町村からも。
更に1割程度いる道北の町の住所(実家)と、「〇〇方」という下宿先住所を持つ生徒には、自分にはない大人度を感じた。

名簿の住所を見て友達に言ったことがある。
彼女じゃない方の礼文の子の住所だ。
レブン町オションナイってすごくない?」
無礼だが昭和の女子高生のたわごとを許してほしい。
「字を見ると何だかオネショが浮かんでくるし、ションというと立ちションみたいだし、どっちにしても下系?」
みたいな事を話してケラケラ笑った。
「なんかちょっと赤面するよね」
赤面という言葉を当時よく使っていた。漢字熟語が好きだったのだ。
重ね重ね昭和の女子高生の失礼を許してほしい。
オションナイ出身の子は、地名のイメージとは違うクールな美人で学業も優秀だったから、ギャップがまたよかったのだ。
友達の家の住所の礼文町香深(かふか)も「審判」とか「グレゴール ザムザ」とか想像しそうな地名だが、漢字である事でまだ薄まる。

夏休みの帰省から戻った友達が言う。
実家で「オションナイ」の話をしたら、正しくは「ヲションナイ」だと知ったとこと。礼文の旧地名はアイヌ語由来のカタカナがほとんどなこと。
「いや〜 家が香深でまだ良かった〜」
と言った友達が家族から聞いたのは
「あれ?知らんの?ここらへん香深ってなってるけどちょっと前まで ヘウケトンナイ だったよ」
という衝撃の地名だった。ヘ?
私もすぐに勝手に漢字に変換してしまった。

屁 受 頓 内


トンには宗谷に浜頓別とか中頓別があるから 容易に頓が想起される。
ヘ ウケときたらやっぱり…
友達も同様だったようだ。で、オションナイに劣らぬ赤面物。

…というのを思い出して、バスでスコトン岬に向かう道すがら、MAPS.MEでカタカナ地名を確認していった。
しかしこれが今となってはとてもとても旅情を誘う。
少ない知識で知ってるのは、ペツ(別をよく当てる) は 川、ナイ は沢、ポン は小さい、パンケは上で ペンケは下 みたいなアイヌ語くらい。
レブンは沖にあるという意味で、高い(リ)・島(シリ)に対して、沖の(レブン)・島(シリ)から来てるらしい。
一つ一つの沢や海岸線の形状などから意味を持って名付けられたのだろう。海沿いを走るバスの車窓からどこまでも深い青い海が見える。地名の意味をもっと知りたくなる。

中国語は表意文字のため、違う民族言語の土地や固有名詞に漢字を当てる。
それが結構うまくいく場合もあれば、音で当てるので尼とか汗とかクセの強い字だとちょっと奇妙な感じがしたりする。日本語でも米国がアメリカ🇺🇸って、慣れてはいるけど、米🌾ならどっちかというと日本じゃね?とも思う。(因みに中国語でアメリカは美国)
アイヌ語地名でもそういう例は多く、カムイ(神)に神居や神威が当てられるのはいいとして、別とか尻とか牛とか意味が定まった漢字だと、時々字の意味がよぎる。
長万部(おしゃまんべ)とか興部(おこっぺ)とか難読ならカタカナのままの方が良かった?と思うこともあるが、アイヌ語の音を何とか残した結果だろう。

1時間ほどかけて北上した朝のバスには、高校生が乗ってくる。礼文町の比較的大きな集落、香深と船泊の間、ヲチカフナイにある島唯一の高校には、寮に入って島外から通う離島留学の生徒もいる。
途中で乗って来た女性に運転手が声をかける。
「あれ?病院行くのかい?そうなら今日病院休みだって」
女性は知らなかったと下りて、無駄足を免れる。
地域に根ざしたってこういうことだな。

1泊2日になってしまった礼文島では、できる範囲でハイキングしたかったので、1日目午後桃岩ハイキングコース、2日目午前ゴロタ岬とスコトン岬コースを歩いた。
心底心地良い、歩きにちょうどいいトレイル。オンシーズンと言うにはちょっと早いが、花の島で有名な春の礼文島には先陣を切った花が咲き始めていた。

そして丘の上からの風景はそれはきれいだ。

2日目スコトン岬を臨む
青空と青い海が美しい

スコトンマリでまたバスに乗って、ヲションナイもヘウケトンナイも過ぎてワウシのフェリーターミナルまでまた戻る。
惜しい気持ちはあるけれど、お昼のフェリーで利尻島に渡ることにする。

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