宮崎県の南ちょっと鹿児島1日目 日南【専業旅婦は日本だって旅する その6】
降り注ぐ太陽と、軽やかな青い海には、神社を彩る朱色が映える。こういうのが本当に「映える」というのかな?フレームに切り取るよりもっともっと全方面鮮烈だ。
九州はもう梅雨入りしているが、日向夏の日向(ひゅうが)なわけで日向(ひなた)とも読むから何とかなる予感と、晴れ女の力を過信することにして、宮崎県に来た。
南国と言えば沖縄や鹿児島には何度か行ったが、人生初都道府県だ。
40年近く前見た都井岬の馬をもう一度見たいという連れ合いに便乗して、一番の目的は都井岬の野生馬と幸島の猿。
車で空港から南下する。
道路に見上げるようなヤシ(フェニックス? ワシントニア?)の街路樹が続き、ところどころにいい具合にうねったソテツも青空に映える。
ここでならこのヤシの仲間も思う存分大きくなることが許され、南国感を醸すにぴったりの木だ。
実はこれらが我が家の庭に生えていたことがあって、非常に困ったのだった。
前の持ち主がわざわざ八丈島から運んできたというワシントニア3本は、広くもない庭でどんどん大きくなり、茎はノコギリザメみたいで凶器並に痛いし、葉は植木剪定材としても出せないし、庭がジャングルみたいに鬱蒼として、ものすごく大変で、遂に5年ほど前抜いたのだ。
その点宮崎県の道端にはふさわしい。本当に似合っている。
見晴らしのいい道の駅で、チキン南蛮サンドを見つけて宮崎ご当地の味を頬張りつつ車は走る。が、先月の北海道旅行で距離感がバグっていたらしい。3時間くらい?と思ったら寄り道入れて1時間程で、私がまずリクエストした 鵜戸神宮 に着く。
岬の突端の神社は、青い空と海に眩しい朱色の鳥居⛩️に欄干、木々の緑とちょっとくすんだ緑青の屋根や擬宝珠の色が、眩しく美しい。
本殿はまるまる洞窟の中にあって、常に水が滴っているのにカビやジメジメでなく清浄でしっとりした清々しさ。
鵜がつくところから神徒とされるウサギが愛らしく、予想をはるかに超えていい所だった。
撫でウサギの全身こねくりまわしたり、お乳岩から垂れる水を受けたりはしたけれど、運玉入れはしなかった。
小学生の時のソフトボール投げでは砲丸投げかよ!という最短記録を出し、砲丸投げではあわや足下に落下!みたいな飛距離で、近所の小学校のフェンスを超えて飛んできたボールもフェンス越しに投げ入れる事ができなくて小学生に恐縮されるような身体能力だからだ。入るわけがないからしないで人のを眺める。
次に行くのは 飫肥 だ。
これも私のリクエスト。3ヶ月前までその読み方からして知らない町。
ゲーム GeoGuesser で日南あたりが何度か出てきたのだ。
国内でも雰囲気や空気感の違う町のストリートビューに「おっ?」となり、読めないから地名の文字をコピー&ペーストしたら、飫肥(おび) とあった。
得意げにリクエストしたものの、連れ合いは「あぎ?」「よび?」とナビに入れるのさえおぼつかない。
しかし漠然とした私の「いいかも」より想像を超えたいい町だった。
飫肥城もそうだが、町に残る家々がさんさんと降り注ぐ太陽の下美しい古い街並みを残している。その姿は何というか無理がない。本当はもしかしたら無理もあるのかもしれないが、無理なく暮らしと共に残っているかのように感じさせる調和した情緒があった。
植物研究所の看板に足を止め、閉館時間まで10分もないのに思わず中に入ってしまった。時間迫っているのに手早くここで主に研究されていたコケの様子を顕微鏡で見せてくださり、ありがとうございます。思いがけずとても面白く、連れ合いはライカの顕微鏡にも感動。
名物の飫肥天をつまんで、考える。
今日のうちに都井岬に行く事を考えていたのは、明日の天気が雨だったからだ。しかし晴れ女効果か、雨の予報がどんどん後ろ倒しになっている。明日午前中は余裕で晴れそうなので、今日はこのまま南郷に取った宿を目指すことにした。
おいしいものも食べたいけれど、食事付きで豪勢にとまでいかなくてもいいかな、夜外食のために車出すのも飲めなくて残念だな、というところで、串間市郊外の温泉♨️つきコテージで地元のスーパーとかで宮崎牛🥩を買って自分でジャーと焼く、というのを思いついた。BBQまでいかなくていい。ジャーっと焼いてパクパクでいい。
すっかりその気になって、岩塩に、ブラックペッパーに、オイルも準備して荷物に詰めた3日前、その宿からボイラー故障でキャンセルの連絡が来た。
ざーん😢
他の宿にも空きはあるけど、すっかり「簡単楽々宮崎牛ジャーパク🥩気分」になっていたので、なかなか切り替えが…
そこで古民家民泊に泊まることに。
残念ながら広い台所にガスコンロはついていないとわかったが(以前はあったが外国人が危険なことするので撤去)、そんなこともあろうかと連れ合いが持参した携帯電気鍋で、近くのA-Coopで買ったお肉をジャー。
朝家の庭からもいできたキュウリと近場産のオクラを茹でて添えたら、欲求は思ってた以上に満たされ、安くておいしいことこの上ない。
さてこの日の民泊のお家の昭和のおばあちゃんの家感は相当だ。昭和の家と言ってもガチな、昭和世代の私にとってのおばあちゃんの家というか、サザエさんの家実写版というか、ノスタルジー満載の平屋だ。
そして宮崎のおじさんは話好きなのかな?
家を管理しているおじさんも神奈川県から来たと言うとありったけの神奈川県につながる話をしてくれた。
そしてしばらくすると通りかかって駐車してあるのを見つけた別のおじさんが、広縁の窓をノックして話し込んでいく。終えてしばらくすると今度は玄関がノックされ出ると話しかけられる。また終えてちょっとするとノックされ言い忘れたと話していく。
翌日だがやはり「どっからですか?」と話しかけられたのもおじさんだった。おばさんではない。これはたまたまか?
家も、広縁から話しかけてくる善意のおじさんも、ひなびたにおいも、昭和に戻ったような1日目の終わり。
宮崎の南でお昼からの半日で、いいものこれでもかと見せてもらった気分。
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