え、ダイエット？飛行機搭乗には体重制限あり！
あたちには何が起こるのか、何が起きてるのか、まったく分からなかったの。事前におねえちゃんが買ってくれたあたちの名前入りのドッグキャリーが気に入ったの。しばらくここで寝てればいいって言うから、あたちは喜んでクッション付きのこのキャリーにあごを乗せて外を眺めることにしたの。
あたち乗り慣れない成田エクスプレスとやらに乗って、東京砂漠を抜けると千葉の夏の田園風景が広がっている。おねえちゃんは慣れた手つきで巨大トランクを大型荷物収納場所にえいやとぶちこんでいる。おねえちゃんて睡眠不足だとガサツなのよね。窓の外の次々と通り過ぎる田んぼや日本家屋を眺めているとのどかで、揺れと眠気でうとうと・・・
成田空港第１ターミナルに到着
いびきを一通りかいたところで、成田空港第１ターミナルに到着。電車のドアが開くとわぁっといろんなノイズが耳に飛び込んで来きた。でも、あたち下町育ちでもいちおうは都会育ち。だいたい人間のやることなすこと、どうせ臭くてうるさいのよね。新宿や品川や東京駅がその典型、だからまたこういうのかって思ってたわ。
しかも、午前中発の便だと、動物検疫の営業時間外だからって言われて、2日前に一度来ているから、成田空港なんてお茶の子サイサイよ。ちなみに動物検疫は空港内にあって、おねえちゃんが事前にアポイントを取ってたんまりかいた書類を提出してたな。同じ情報を何回書かせるんだー！（怒）って悪態ついてたけど、ちゃんと動物検疫のおねえさんに愛想ふりまいてOKもらったみたい。オトナの本音と建前ってこのことね。
ドキドキのチェックイン・カウンター
今回はスイス航空便でチューリッヒ経由でベルリンへ向かう。多くのヨーロッパそしてアメリカ系の航空会社は、一定の規則の中でペットの機内持ち込みが可能なの（スイス航空ペット規約）。そして、チェックインカウンターであたちの番がくる。おねえちゃんのドキドキしている心臓音が聞こえてきそう。
あたちとバッグの重さが8kgを超えたら、ブッブーーーーー。乗れません！残念無念。夢に描いたパリの街並みも、夏の日差しが降り注ぐ南イタリアのオリーブ畑も、豊かな湖畔の暮らしのチューリッヒも・・・消えゆく砂漠のカゲロウ。ゆらっゆらっゆらっ・・・
そしてなんたって！あたちだけ、この日がやってくる2週間前からおやつ無しでダイエットまでしたんだから。大好きな鹿肉ジャーキーも、ドライ豆腐もさらにはフリーズドライの野菜もなしよ？その横で、おねえちゃんは暑いからってアイスばっかり食べてたのに。格差社会ってもう一回叫んでやりたい。おやつもなくてパリもイタリアもチューリッヒもなくなったら、あたち立ち直れない。
おそるおそる、あたち入りのドッグキャリーを預け入れ荷物の重量を計るあのベルトの上に置く。May the force be with me…..と心でなぞにも唱える声があたちには聞こえる。心臓はどくんっどくんっ、、、、！
・・・・・・8.1kg
チーーーーーーーーーーーーーンッ
・・・・・・これはオワタ。
あぁオワタ。
カゲロウが立ちゆく水蒸気のように描いた夢の日々が消えていくのを感じる。
おねえちゃん、内心青ざめているのをあたちも感じる。犬って敏感なのよ。それから、青ざめているのを打ち消すように営業スマイルで航空スタッフを見ると、え、え、笑顔！
これはもしかして！GO？
見逃してやるの笑顔ではないか！こんなに人間の笑顔が眩しく、清々しい夏の空に揺れる向日葵のように思えたことがあっただろうか。素敵なあなたに幸あれ〜ええと心の中からビームが送られる。
チェックインカウンターの下に隠れている方の手でおねえちゃんが小さくガッツポーズをして、足元で小躍りをしたのをあたちは見逃さなかった。そして、「Pet in Cabin」のタグをつけてもらい、動物検疫のタグとともに神々しい緑のヒラヒラ。なんだか急に全ての力を手に入れたみたいな気分。
一気に緊張が解けたせいで、あたちのダイエット話を披露している。そんなことはいいから、このベルトが間違って動いて貨物仕分けになる前に、あたちをここから下ろして。
ちなみに、ペットは機内の足元の荷物収納スペースに置くことになっていることから、ドッグキャリーのサイズにも規則が設けられているの。注意ね。あたちは、サイズの誤魔化せないハードケースよりぐにゃっとできるソフトケースがおすすめ。中にいるあたちもベッドで寝る感じで心地いいしね。
そんなことで、成田空港の出国の関門を晴れて笑顔で通り抜け、いよいよ飛行機に乗り込む。
ゲートに行くその前に、重要情報！
フライトの前には、必ずお手洗いに連れて行ってね。アメリカの空港には室内にペットリリースエリアが設けられているところもあるけど、成田空港にはないので空港建物の外にあるグリーンエリア（雑草が生えている自転車置き場）で用を済ます。ま、目的が達成できればなんでもいいよね。
※おトイレの後の始末は飼い主がしっかりと
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