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プレッシャーと戦う選手たち(清水‐大分)

2024.7.14  明治安田J2リーグ
第24節 清水 2-0 大分

こんにちは。
メンタルコーチ 兼 清水サポのLilyです。

ホームでの連勝を勇気にして
アウェイで貴重な勝利。
そして首位奪還。
これでアウェイの苦手意識払拭できましたかね。

まずはほっとしました。


1,セオリーを超えてくる男

それが乾貴士選手だ。

メンタルコーチとしてメンタルについて
いろいろ考えたり調べたり学んだり
しているけれど、
そのセオリーが本当に正しいのかと
私の自信をなくさせてくれるのが、
乾貴士選手なのだ(笑)

一般論として、
「こういうメンタルになろう」
と言われているメンタルと
乾選手の言動は一見、矛盾しているように見える。

例えば、プレー中にカードをもらうのが多い。
ファウルでもらうだけでなく、
審判に抗議してカードをもらうこともある。

去年のある試合で、
「もう無駄なカードはもらわない」と
宣言したことを覚えている方も多いだろう。
今年も既に4枚のカードを
もらって1試合出場停止を喰らっている。

やむを得ないファウルは仕方ないとしても
審判に必要以上に抗議したりして
もらうカードは、
乾選手のいう「無駄な」カードなのだろう。

この試合も
審判に抗議する乾選手の姿がありました。
宮本選手や北川選手がちょっと寄っていき
また離れ
やっとプレーに戻った乾選手の背中に
サポーターからの乾コール。

これは既にエスパルスの様式美のように
なっています。

今回はDAZNから見ていて、
あれ、っと思ったのです。

乾選手が審判に何か言っている
それは見えますが
何を言っているかまでは聞こえない。

そして、近寄って行った宮本選手は
ちょっと声をかけただけで
すぐ離れます。
キャプテンの北川選手も同様で、
止めに入ったわけでもなさそうです。

これはもしかして。

※ここからはいつもの私の妄想です。

多分本当にカードをもらうような抗議だったら
宮本選手も北川選手も間に入ったり
止めたりするのでしょうが
あえて止めないのは
このくらいは乾選手には必要だと
思っているからではないでしょうか。

感情を引きずるタイプの選手は
イライラを抑えた方がいいのですが
口に出して確認することで
スッキリするタイプの選手も
いるということ。
むしろ言わないでいると溜め込むタイプです。

スッキリしたことで、
よりプレーに集中できるようになる。
感覚が研ぎ澄まされていく。

実際、こういう時の乾選手は、
ゴールを決めるとか
アシストをするとか、
決定的な仕事をすることが多いというのも
また私の印象ですが。

ある一つの意見だけで
何かを決めつけてはいけない。

大事なのはその人。
その人がどういう感覚を持つ人なのか
一人ひとり違うそれを
こちらが受け止めることではないでしょうか。


セオリーではないが
それもまた事実。

そんなことを気づかせてくれる乾貴士選手に
結果的に、私も成長させてもらっているんです。

改めて、すごい選手です。

2,プレッシャーを抱えて戦う選手たちに、リスペクトを

そんな乾貴士選手さえ、
怪我から復帰後なかなか
数字としての結果を残せず
苦悩していたのかなと思います。

大分戦でのゴール後、乾選手は
天を見上げてなんとも言えない表情を
見せました。

その一瞬の表情に
それまでどれだけのプレッシャーを
乾選手が感じていたのかと
思わざるを得ませんでした。

怪我から復帰後
チームが勝てない時期が続きました。
シュートが枠に飛ばない。
パスが相手に引っ掛かる。

さらに大分戦でも決定的な場面が数度あり
それを決めきれないという状況に、
時間が経つほどにプレッシャーは
重くなっていたと思います。

私自身の反省も含めてですが
枠に飛ばせとか、また外した!などと
つい言ってしまいますが
そんな些細な一言も
積み重なれば大きな圧になってしまう。

もちろんそんなプレッシャーなんて
跳ね除けろよ、プロなんだから
という意見があるのはわかります。

でも選手たちから
ゴールが決められなくて
眠れなくなったとか
シュートを外す夢を見るとか
そんな話を聞いていると
「プロだから」で済ます気持ちには
とてもなれません。

むしろ、プロだからこそ
その大きなプレッシャーにさらされながら
毎日戦っているのだと。

もちろん他の選手も同様です。
アウェイで連敗などと
周りは簡単に言いますし
またアウェイだけどどうしますか?
と簡単にメディアは訊ねます。

アウェイの地に降り立てば
また負けるのではという気持ちが
心に浮かばないとも言い切れません。

でもみんなそれを跳ね除けて勝利した。
自分たちの自信を取り戻して
プレッシャーを跳ね除けて。

選手に対するリスペクトを
新たにするのです。

3,1つひとつのプレーの意味

私が特定の選手をサポートするときには
その選手の試合を直接見に行きます。

練習の様子を見ることもあります。

なぜなら、DAZNなどの切り取った画面だけでは
見えない部分があるからです。

間に合わなさそうなタイミングだけど
最後までボールを追う
パスを引き出すために走る
(結果出てこないこともある)
他の選手に声をかける
指示の声が人一倍出ている
味方の選手をサポートできる位置にいる
味方の選手を活かせるようポジショニングする

など、など、
ほとんど取り上げられないし
TVには映らないようなシーンでも
その選手の良さが現れる場面が
たくさんあるからです。

ボールを触っている時だけが
選手の仕事ではありません。

例えば1本もシュートを打たれなかったら
ゴールキーパーはその試合
なにもしていないことになるでしょうか。

そんなことはないですよね。

シュートを打たせないために
ディフェンダーにコーチングしたり
後ろから戦況を分析して
戦い方の指示を出したりしています。

それもまた大事な仕事であり
それがなければ
試合の流れも変わってくるかも
しれないのです。

だから私はゴールやアシスト
シュート数やスプリント数などの
数字も大事ですが
数字に表されない選手の活躍にも
一つひとつ意味があり、
その選手の良さになると思っています。

4,新加入選手の立ち位置

夏のウインドウが開きました。

移籍、獲得、レンタルなどの話題が
出てくる時期です。

既に清水からは
川本選手、千葉選手がレンタルに出ており
アジズ選手、宇野選手の獲得を
発表しています。

この大分戦でも、
わずか数分でしたがアジズ選手が出場し、
どんなプレーをするのかと
サポーターはワクワクしていたと思います。

大体の場合、チームは年末に解散します。
そこから再契約や契約延長、移籍、
引退や新入団などの発表を経て、
年明けに新チームが発足します。

原則としてチームは
発足時に方向性や目標などを定めます。

こんなチームにしよう
ここを目指そう

といった感じです。
チームとしてそれに納得して
それぞれの選手は個々の課題に取り組みます。

それがチームビルディングの基本です。

しかし途中から入ってくる選手は
どうなのかという話です。

もし、違うチーム(会社)からオファーが来たら
あなたはなにを気にしますか?

給料などの待遇面でしょうか。
チームの規模やカテゴリーでしょうか。
それとも自分に求められる役割でしょうか。
1番気にして欲しいのは、
そのチームの方針です。

どんなチームを目指しているのか。
選手同士はどういう関係でいるのか。

それに納得すれば、
そのチームに溶け込んでやっていけますが
そこに納得できず
カテゴリーや待遇だけで選んでしまうと
やりづらさを感じるでしょうし
試合にもなかなか出られず
フラストレーションを感じることにも
なりかねません。
能力だけでは、長期的に歪みがでます。

とる方(チーム側)も、入ってくる方(選手側)も
それを意識していないと、
チームがバラバラになるということさえ
起こり得ます。

さらに難しいことに
Jリーグは昇格降格があるので、
成績によって監督が変わり
その方針も変わってしまうことがある、
ということ。

一年を通して貫くものが
なくなってしまうのです。

シーズンの途中で監督を変えることに
私が否定的なのは
そういった理由もあるんです。


ここから中断期間に入ります。
いったんリフレッシュして
サポサン(ファン感)で思いっきり笑顔になって
トレーニングや試合を経て
新加入選手をフィットさせ
よい自信をつけて仙台戦に臨んで欲しいですね。


最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

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  • 清水エスパルスを題材にメンタルを語るブログです。
    皆さんの部活や生活、お子さんへの声掛けなどの参考にしていただければという気持ちで書いています。
    あくまで一般論としてのメンタルを語っており
    誰が悪いとかあの時○○すべきだったとか
    ここを改善すべきだとかを
    論じるブログではございません。

  • 選手個人を挙げてメンタルを論じることはおやめください
    ただし、○○選手のあの時のこの行動が
    その後の試合の流れに影響を及ぼしてた!(かもしれない)
    というようなことはブログ内では取り上げます。
    それは○○選手のメンタルの話ではなく行動の話だからです。

  • こちらに書かれていることを元に
    チームや選手個人にご迷惑をかけるような言動は
    おやめください。

  • 特定の選手、チームに対する暴言や誹謗中傷等もおやめください。


【勝利のリズムへ導くプロスポーツメンタルコーチ Lily】

・独りきりでがんばるアスリートをなくしたい
・すべてのアスリートがメンタルコーチに頼れる世界に
・すべてのアスリートに幸せな引退を

静岡市出身。お茶の水女子大学心理学卒。
清水エスパルスとサッカー、音楽が大好きです。
小~高校まで吹奏楽部。高校野球の応援にも全力。
現在は清水エスパルスのゴール裏で声援を送る生活。

将来有望とされていた若手サッカー選手が
活躍できずに引退してしまう、
そんな姿を見たのをきっかけにメンタルコーチの道へ。

現在は音楽家(プロジャズミュージシャンなど)、
スポーツ選手(サッカー、ビリヤードなど)の
サポートの傍ら、自らの音楽活動も継続。

プロスポーツメンタルコーチ
プロチームメンタルコーチ
NLPマスタープラクティショナー
音楽療法士
リトミック ディプロマA

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