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[4話]ドレス発売開始にあたり、並々ならぬ覚悟を見せて @着物ドレスデザイナー

◆ついに発売開始!踏み出した2つの理由

プロとタッグを組んで「ボンドを卒業」し、理想のドレスが作れるようになったリリーさん。2万5000円になった残高からは近々、寿司代が引かれる。

さあどうにかして、来月のカードの引き落とし日までに、この状況をなんとかせねば!

ついにリリーさんは、作ってきたドレスをリリースすることにした。

売り出すのは、実はとても怖かった。売れなかったらどうしよう、と葛藤した。それでもドレスをリリースしたのには2つの理由がある。

1つ目は、「何かをやるときに『怖い』と感じるのは、自分が実は心からやりたいことだから」ということをリリーさんは知っていたからだ。

考えてみれば、「本当に言わなければいけないこと」ほど言うのが怖いし、「本当にやってみたいこと」ほど怖く感じるもの。だから、怖いからこそやるべきだと腹を決めた。

2つ目の理由は、もう残金が無いからである。

つまりもう、やるしかないところまで来ていた。

◆覚悟を決める!リリー着物ドレスの 「顔」として

ここで、ただ「素敵なドレスができましたよ〜」と売り出すだけでなく「覚悟を決める」のがリリーさんらしい。

なんと、リリーさんはドレスをリリースするにあたり、「作ったドレス以外」の衣服を全部手放した。

「心から着たいと思うものだけを持とうとしたら、リリードレスだけが残ったの」


そうすればもちろん日常生活でにおいて、スーパーもコンビニも、どこへ行くにもこのドレスを着ていくことになる。当然目立つ。ただリリーさんはブランドを立ち上げるにあたり、自分がブランドの顔になるという覚悟を決めたのだった。

やっぱり、只者ではない。

その時、家族からの反応は「別に普通」だったと話す。「特にびっくりされなかった。私たちはお互いのやりたいことを反対しないから、『これからドレスしか着ない』と言っても『いんじゃない?』って」

今ではむしろ、リリーさんが「このドレスだとちょっと派手かな…」とためらうことがあると、息子たちに「何を今更(笑)」「自分にケチるなっていつもママが言ってるでしょ?」と諭されている。

◆ついに発売開始!「待ってました」と言ってくれる人たち

発売の開始は、Instagramでお知らせした。リリーさんは何年間にもわたって、SNSで自分の生き方やドレス作りについて発信しており、発売を楽しみに待ってくれていた人たちがいたのだった。

ドレスをリリースした瞬間、「待ってました!」という人たちが続々と購入してくれた。リリーさんはドレスが世の中に受け入れてもらえたこと(そしてカードの支払いに間に合ったことも)、全てにほっとして胸を撫で下ろした。

決して安くはないドレスがこうして売れていくのは、リリーさんと仲間たちがかけた「魔法」を感じ取ってくれる人たちがいるからだろう。

「どこに行く時も、何をしてても、いつでも私はリリードレス」

お客様の感想で何度もあったのは、「このドレスを手にすることで、『派手でも目立っても、人と違ってもいいんだ』と自分を許可できた」という言葉。

ドレスのデザインやクオリティももちろんだが、お客さんの心を一番打つのは「このドレスが大好きだから、自分に与えることをためらわない」というリリーさんの「生き様」なのだ

◆自転車創業でも、細部にまでこだわって

このビジネスは、とにかく自転車操業だ。

「"今は"お金が無くても、全てカードで支払う。あとは引き落とし日までに、魂通りにトキメキを追いかける。そうすると生産性がアップして、なんとかなるの」

そんなスタイルだから、1着売れたら「よし、これで専用の段ボールが作れる!」と即出費。また1着売れたら「これでショッパーも作れる!」と即出費。

「箱にシールもあった方が…」「箱を開けたらメッセージカードもあった方が...」と、ワクワクの追求が止まらなかった。

「最高にアガるドレスを送るんだから、最高にアガる包装じゃなきゃ」

ドレスにまつわる諸々を揃えるにあたり、「ある程度資金が潤ってからやろうかな…とかは私にはできなくて(笑)」とリリーさん。

「小ロットだし、はっきり言って包装代は掛かってる。でも"ケチってない"、つまり全部こだわっているおかげで、まず送る時に気持ちがいい。

そしてもちろん、受け取ったお客さんも、開封動画を撮ったり、シールをドライヤーで丁寧に剥がして大事にしてくれたり、楽しんでくれる。そうして楽しい輪が広がっていくの


リリー着物ドレスは、こうして幕を開けたのだった。

彼女はリリー 第4話 完
「ドレス発売開始にあたり、並々ならぬ覚悟を見せて」

◆次回:どうしても着てもらいたい有名人に会いにいく..


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