ホットチョコレート(5)
5. 紅
「中田(なかた)!浜口(はまぐち)、今日は早退(そうたい)するみたいだって。」
紅(こう)はロッカーから教科書(きょうかしょ)を取り出して、そばにいた茉莉(まり)花(か)に声をかけた。
「そっか。」
茉莉花は珍(めずら)しく漢字のドリルを広げている。
5時間目は漢字のテストだ。
「昨日は一緒(いっしょ)に帰らなかったのか。」
「楓、気付いたら帰ってたの。まりと帰るのがいやだったんじゃない?」
指で漢字をなぞりながら言った。
「何があったか知らないけど、浜口、何だか