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流行るのは“タイパの良い本”かもしれないけれど|『覚悟の磨き方』読書録


ん〜なるほど。
こういう本が今、万人ウケするのかも。

少し前にInstagramでよく見かけるようになった池田貴将編訳『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』(2013年)を半分くらいまで読んで、ふとそんなことをおもいました。

今日は積読本となっていたこの本を読んで、「最近はなんでも効率を求めがちな傾向にある」と思うことと、「読書は他人の"寄り道"を覗くことで学びを得る場所なのに」と感じたわたしの気持ちを記録します(あくまで一個人の意見なので、どうぞお手柔らかに)。

#覚悟の磨き方
(Instagramで5,000件以上ありました)


タイパの良い読書


今回読んだ『覚悟の磨き方』は、江戸後期の混沌とした時代に生きた吉田松陰の、いわゆる「名言集」です。

もっと自分の感情に素直になりましょう。
 (中略)
感情は表現すればするほど、
受け取る力が強くなります。
ありったけの心を動かして、
人生を楽しもうじゃありませんか。

『覚悟の磨き方』より


武士、いいこと言う〜〜🥷🏽(何様)


吉田松陰の考え方がなるべく伝わるように、歴史に興味のない方にも響くように、ただしなるべく嘘(意訳すぎること)のないように作った本なのでしょう。わたしは歴史にとんと弱い人間ですが、まんまとこの本を手に取り、その名言たちに共感したり自身を鑑みたりしました。

幕末動乱の時代に生を受け、「至誠」を貫き通し、勇敢に行動した吉田松陰。松下村塾で多くの志士を育て、松陰は29歳という若さで亡くなりますが、その“志”は塾生たちに受け継がれ、明治維新の原動力となりました。

萩市観光協会公式サイトより


少し話が逸れるようですが、この本を出版しているサンクチュアリ出版は、自称『本を読まない人のための出版社』だそうです(挟まっていた年間購読のチラシに記載されていました)。主な書籍は『なぜか感じがいい人のかわいい言い方』『学びを結果に変えるアウトプット大全』『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』など、…見ているとそのコピーにもなんだか頷けるような気持ちになります。

✔️ アイコン的なデザインの表紙
✔️ こだわった装丁
✔️ 説明的で分かりやすいタイトル

"イマドキ"な本が多いなと感じる当該出版社のラインナップ。理由はきっと上記によるものかなとおもいました。ぱっと見で内容を想像できることはもちろん、内容についても話の結論だけを知れる、タイパ(タイムパフォーマンス)が良い本がつくられ、選ばれているのかなあという印象を受けます。

『覚悟の磨き方』に至っても、鎖国を経験し、型破りにも学びを広めた武士の思考を名言という結論のみの形態で知れることは、なるほど「タイパがいい」。

それでもこの名言集を眺めていると、「どうして彼はこの思考に至ったのか」という過程を知ることが本当の学びで、結論を知っただけでは実感がなく己に響かないように思えてしまいます。


たとえば学校からの帰り道にみつけた
たんぽぽの花が綿毛になったこととか、
紙の辞書をめくる途中でみつけた
心に残ることばとか、
過程にも大切な発見がたくさんあるのにな。
なんて、口うるさいことを少々感じた、
それはそれで意義のある読書時間となりました。



最後までお読み頂きありがとうございました💐
またお会いできたら嬉しいです。

それでは、またね〜!

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