美味しさの不思議

今回グルテンフリー雑穀パンの試作を続けていて、すごく勉強になったことがあります。

それは、アクやえぐみも美味しさのもとになっているということです。

丁寧にアクを取り、えぐみを除いた雑穀で焼いたパンは、味が弱くなってしまうのです。

実はそれは大豆の加工についての論文にも書いてあって気になっていました。
大豆臭さを徹底的に減らしてしまうと味気ない豆腐になってしまうという記載があったんです。
豆乳においては、徹底的に減らした方がいいけど、大豆の加工品としては減らさない方がいい。

つまりケースバイケースで、必ずしもアクやえぐみを取ることが美味しさに結びつくとは限らない、ものによってはアクやえぐみが大切になってくるということは、すごく驚きでした。

丁寧に下処理した方が美味しくなる気がしてしまいますが、それは作り手の思い込みで
そういった先入観なしで、味を作っていかないといけないんだと学びました。

雑穀パンでは、大豆サポニンの健康効果もあるので当初はアクはあえて残す方針でいくことにしていたんですが
アクを除いた雑穀の方が美味しいかもしれないと思って試作してみたら、味が薄くて旨味の少ないパンになってしまいました。

ですので、やっぱり予定通り雑穀の下処理ではあえてアクを残し、その代わり少し雑穀の量を減らし、いりごまを加えて香ばしさで大豆のクセを和らげバランスを取ることにしました。

アクを取った雑穀だとごまの風味に負けてしまっていたんですけど、アクを取らない雑穀だと胡麻の強い風味に負けず、相乗効果で旨みが強くなりました。

美味しさって本当に不思議で面白いです。

あと、今回なかなか配合が定まらなくて友達に試食をしてもらって意見を聞いたのですが
作り手は手間をかけた思い入れなどの主観が入ってしまいがちなところを、作り手でない人は工程の情報なしに味だけで客観的な判断ができるので、他の人の意見を聞くのはすごく参考になると思いました。

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