リリィ

旅好き、その他もろもろ。

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最近の記事

会いたい人のこと

もしも願いが叶うなら。みたいに純粋でロマンチックな気持ちではないけれど、会いたい人がいる。 あのときに自分を助けてくれたあの人でもなく、あのとき好きだったあの子というわけではないけれど(それはそれで会ってみたいけれど)、僕はいま、高校時代の同級生だった「あいつ」に会いたいと思う。 あいつとは、小学校からお互いに知っていた。少年野球であいつは僕は別のチームだったが、あいつはよく目立つ存在で、きっかけは忘れたが何度か対戦するうちに話したことがあった。 中学は一緒になった。そ

    • 大地の子

      「ひそやかな花園」も自分のルーツを探し求める物語だったけど、この「大地の子」もまた、自分のルーツを求め、苦悩する主人公の物語だ。でも、物語を通してさらに印象的なのは、戦後間もない中国東北部の風景や、文化大革命による騒乱、共産党内における権力闘争である。 特に、文化大革命というのは、名前としては知っているものの、具体的に実態を知ることはなかったから、この小説を通して知ることも多かった。 毛沢東が自らの復権を画策し、若者たちを紅衛兵として組織させ、知識人たちを徹底的に弾圧した

      • ひそやかな花園

        自分のルーツを知りたいと思うのは、人間の本能みたいなものなのだろうか。自分のこの性質はどこから来ているのか。なぜこんな価値観を持つのか。それを考えたとき、自分の生い立ちだけで全て納得することは出来ない。そこでやはり、人は自分のルーツを辿るのだと思う。 この物語の登場人物たちは、そんなルーツが辿りようもないという境遇を共通して持つ。確かに、ルーツを「知らない」のならまだしも、「知ることができない」というのはとても心細いのかもしれない。 20歳を過ぎた頃から、父と母の昔話をよ

        • 対岸の彼女

          いつでもまた会えると思った人が、永遠に会えなくなる。厳密に言うと「会えなくなる」ではなく、「会わなくなる」のであるが、そんな経験も生きていれば何度か遭遇する。 葵とナナコは地方に住む女子高生だった。内気な性格の葵は、特定のグループに属さず、自由にクラスのグループを行き交うショートカットの女の子・ナナコに話しかけられる。やがて二人は親友となり、いつも放課後の時間を一緒に過ごすようになった。しかし二人の関係は、葵とナナコが夏休み限定で始めたペンションの住み込みでのアルバイトの後

        会いたい人のこと

          死にがいを求めて生きているの

          朝井リョウの「死にがいを求めて生きているの」を読んだ。本を読むのは決して早くはないのだけど、スキマ時間を使って2日ほどで一気に読みきった。他にやらないといけないこともたくさんあるのにね。ふむ。 読み終わったところで思うことは何ともヒリヒリする小説だったということ。わかってはいるんだけど向き合えてない事柄に対して、「それ言っちゃったか…。」みたいなテンションで読む者に迫ってくるあの感じ。登場人物の誰かしらに自分がいる、あの感じ。月並みの表現しか出来ないのが何とも悔しいのだ

          死にがいを求めて生きているの