免疫の仕組みをわかりやすく解説
今回は身体を守る免疫システムについてまとめていきます。
人の身体には異物や病原体(抗原)などから身を守るための防御システムが備わっている。
この防御システムは3段階あり、
①皮膚や粘膜による物理的な防御
②侵入してきた病原体に対して自然免疫による防御
③最終段階の獲得免疫による防御
①の皮膚や粘膜などの物理的な防御システムをかいくぐって身体に侵入してきた異物や病原体(抗原)などに対して、「こいつは危険だから排除しろっ!」と②の自然免疫が発動する。
ここで活躍するのが好中球、NK細胞、マクロファージである。
さらにそれでもかいくぐってくる場合には③の獲得免疫が発動。
ここで活躍するのがキラーT細胞と免疫グロブリンである。
この②と③で活躍して異物や病原体(抗原)を攻撃する細胞のことを「免疫細胞」という。
この免疫細胞にはいくつか種類がある。それぞれ役割分担があり、自分の仕事を滞りなくすることで敵を排除していく。
この免疫システムを理解するとなんて優れたシステムなんだと感心する。やっぱり人はすごいなと!
ではその免疫システムをもう少し詳しく見ていこう。
まずは免疫細胞の種類について
免疫細胞の中心は白血球である。この白血球の中で、特に重要な役割を果たすのが、好中球、マクロファージ、NK細胞、T細胞、B細胞である。
病原体(抗原)が身体の中へ侵入してくるとまずどんな敵でも関係なしにぶっとばしにいく特攻隊長がいる。これを防御システムの2段階目の「自然免疫」といい、この自然免疫はわれわれが生まれつきもっている防衛システムであり、好中球、NK細胞、マクロファージなどの細胞がその中心である。
これらは「食作用」といって、抗原を食べるように攻撃してやっつけていく。
この自然免疫では何でもかんでもやっつけていくのだが、やっつけながら「ところでこいつ誰やねん!」と病原体の正体を探っている。
暴れまくるだけでなく、意外としっかり周りが見えている。
「こいつは弱っちいあいつだな!」「こいつは強くて有害なあいつだ!」
という感じで。
そして、こいつは有害で危険だと判断すると「あのやばいやつ来たでー!!」と合図を出す。これを「抗原提示」という。
この「抗原提示」によって、サイトカインが放出されてヘルパーT細胞が合図を受け取り、助けてーー、ヘルプーー! といってさらにサイトカインを放出して最強の殺し屋「キラーT細胞」を呼んでくる。
やばいやつにはこっちもやばいやつをぶつける!!
このキラーT細胞は決まった病原体をロックオンして突進していきボッコボコにやっつける。
さらに、ヘルパーT細胞はキラーT細胞だけでなく実はB細胞もこっそり呼んでいる。
このB細胞は形質細胞となり、「抗体」を産生する。
この抗体は肉体派ではなく頭脳派。ある病原体(抗原)に対してロックオンして狙い撃ちするが、キラーT細胞と違うところは病原体を包囲して動けなくして排除する。力技ではなく戦略を練って攻撃する。このことを「抗原抗体反応」と言ったりもする。
例えるなら、ゴキブリをおりゃーといって新聞紙を丸めて叩き潰しにいくのがキラーT細胞で、スプレーで動きを封じ込めて紙で包んでポイッと捨てるのがB細胞から作られる抗体である。
この抗体のことを「免疫グロブリン」という。免疫グロブリンには5種類ほど種類があり、病原体の性質によって作用する免疫グロブリンが異なる。この免疫グロブリンについてはまた違う機会にまとめようと思う。
このキラーT細胞と免疫グロブリンによる防御システムを3段階目の獲得免疫という。
このような流れで人は病気にならないように、病原体に対して防御システムを発動している。
まとめると
病原体(抗原)が侵入
↓
【自然免疫が発動】
好中球、NK細胞、マクロファージが病原体を食べる
↓
やばいやつがいると「抗原提示」してヘルパーT細胞へ連絡
↓
ヘルパーT細胞がキラーT細胞とB細胞を呼んでくる
↓
【獲得免疫が発動】
キラーT細胞は病原体をボッコボコに、B細胞は抗体(免疫グロブリン)を産生して包んでポイッと捨てる
↓
この流れで病原体を排除する
本当によくできているなー。
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