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「国際的な感覚」の定義

私が日本のことをほとんど知らない日系カナダ人から(日本にもテレビあるの?とクラスメイトに聞かれて答えられないくらい、本当に何も知りませんでした)アニメにハマって日本に渡り10年も住むことになったのは、うつ病で大学を中退し、バイトしながら次のステップを探っていた私に、中国出身の年下の友達が「わたしの高校に日本人がいるんだけど、会ってみない?」と言ってくれたのことがきっかけでした。

その日待ち合わせ場所にきたのはアメリカ生まれカナダ育ちで両親が日本人のAちゃん、Aちゃんの幼馴染の日系ブラジル人3世カナダ育ちのBちゃん、そしてAちゃんと高校が一緒の香港出身カナダ育ちのCくんでした。

Cくんはアニメ好きが講じて日本語を話せるようになったらしく、日系の私たちも知らないような言葉も多く使いこなしていました。私たち4人はすぐに仲良くなりよく一緒に遊ぶようになりました。小さい頃は二世の幼馴染がいましたが、それ以降同年代の日本語を話す人に会ったことがなかったので、どきまぎしながらも分かり合える仲間ができたような、とても嬉しい気持ちでした。

全員大学に通うようになったある日、Cくんの家にみんなで遊びに行くことになりました。Cくんは日本語を専攻しており、宿題を手伝ってほしいと頼まれました。どうやらテーマにあわせて日本語で文章を書くというもので、そのテーマの意味がわからなくて困っていたようです。読んでみると、質問はこう書いてありました。

「あなたは国際的な感覚を持っていますか?」 

「どうすれば国際的な感覚を磨けると思いますか?」

国際的、ってどういう意味だ?さらに、国際的な感覚ってなんだ?と全員で頭を捻りました。

Cくんは「国際的って、インターナショナルな、てことでしょう?いろんな国の言葉が喋れるって意味なら、僕は広東語、中国語(北京語)、英語、日本語が話せる。いろんな国の知り合いがいるのかってことなら、君たちも日本人だし、他にもアジアやヨーロッパ出身のいろんな国の人が学校にいて毎日話している。普通のことだけど、それって僕は国際的な感覚を持っているってことでいいの?磨くってなにをどうしたらいいの?」

と聞いてきましたが、私たちにもさっぱりでした。移民大国カナダでは3ヶ国語や4ヶ国語をしゃべる人もゴロゴロいて、私も高校時代はスペイン語を専攻していましたがペラペラというわけではなく、小学校で習ったフランス語や興味本位に習った中国語も身につかず、2ヶ国語しか話せない事がコンプレックスでした。(母親は未だに中国語ができるようになれば世界で活躍できるようになるし、スペイン語を話せればアメリカで有利、フランス語もマスターしたら公務員になれるかもしれないんだから、勉強しなさい!と言ってきます)クラスメイトもみんな違う肌の色で違う宗教で違う言葉で違う文化で、それが当たり前でした。そう言った意味では、カナダ人は国際的な感覚というものを生まれながらにみんな持っているのだろうか?

おそらく日本の教本か何かから取った問題だと思うのですが、国際的な感覚ってなんなんだろう、磨くものなの?磨けるものなの?未だによくわからなくて、たまに思い出してしまいます。

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