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妖精

今日は新幹線移動
久しぶりに富士山側ではなく
海側に席を取った。
時々遠くに見える海は薄曇りのせいで
美しいブルーグレーで雲と同化している。
5月の鮮やかさをイメージして
この席に座ったけれど
ぼんやりとした色彩にとても落ち着く。

今日から彼の人の建てたおうちへ行く。
自宅でもなく、別荘でもなく
誰のものでもないんだと彼の人は言う。
お金を出して建てたのは彼の人なのだけれど
まぁそう言うこと。
世の中には固定観念、既成概念では
説明のつかないことがたくさんあると
気付いたのはつい最近のこと。
たくさんの人と会う仕事をしていて
はじめの頃は怒ったりもどかしく思ったり
その人を変えようだとか育てようだとか
だいぶおこがましい葛藤の中にいたが
ここ何年かは、だいすきだと決めて
お付き合いするようにしている。
同じ言葉を話していても
意思の疎通がうまくいかない場合には
妖精かも知れないと思うことにしている。
そうすると、わたしがふわっとなる。
何も全ての人と分かり合えなくてもいい。
一緒にいて笑顔になれる相手なら
妖精でもドワーフでもだいすきだ。

新幹線に乗り込み自分の席を探していたら
床に新聞紙が一面広げられていて、
2列シートを向き合わせ4人で座っているご婦人たちがいた。
靴を脱いで新聞紙の上に
足を置き、鞄を置き大きな声で話しながらお弁当を食べている。
こんな場面でああコロナ禍は終わったのね
と実感する。

突然
「あっ!!!!」
と、ご婦人のひとりが窓の外を指差して叫んだ。
何かと思ったら富士山が見えたらしい。

妖精族のおばさまたち。
お弁当の後は血糖値が上がったようで
お昼寝タイムである。

なんだか微笑ましい。

さぁ
お昼は鰻かな
彼の人はどんな顔をして待ち合わせ場所に
来るのかな。

たのしみ


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