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『日常に溶け込んで』


「...誰でもいいわけじゃなかったんだけどな」

あー嫌だ嫌だ、
なんだか、
負け惜しみみたいに聞こえてしまうじゃない。

アイツと出会ってからの私はきっと、
"この世界"にいなかったんだと思う。
きっとこの世界によく似た、
天国のような場所にワープしたんだ。

幸せ成分をたっぷり含んだ空気にあてられて、
感情は飛んだり跳ねたり、まさに夢見心地だった。
最初は「誰も私たちの邪魔はさせない」って、
そんな心持ち。

次第に今の自分ならなんでも許されるって
勘違いが亀裂を生んだ。

そんで別れたその瞬間、
元の世界に戻ってきたんだ。
こういう時こそ、誰かに「おかえり」って言ってほしかったり...。

笑い合う二人のために
無理やり掴み取った連休の最終日も、
あっという間に項垂れて終わってしまうんだろうな。

時間の経過が解決してくれるなら、
体感時間を加速させるための手段を探さないと。

そうだ、趣味でも作ろう。

うんと没頭できるやつ。

そうやって、所謂"元の世界"に私を馴染ませるんだ。


なんにもなかった顔をした、
いつもの日常に溶け込んで。

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