フォローしませんか?
シェア
その日は朝から居間に座ってテレビを観ていた。 いや、テレビを観るふりをして、サッシ窓越し…
「学校内ではもう少し慎重にしてくれないと困るよ!」 米倉は、喫茶店の椅子に座るなり語気を…
二学期の教室には、頬杖をつく女生徒が増える。 リリ子も米倉を思い耽ることが多くなったが、…
冷房を気遣ってくれる米倉に、大人と付き合うとはどういうことかを改めて知った。 返事をしよ…
リリ子は会場の席に身を沈めると、大きく深呼吸をした。 隣りの米倉は、「ハムレット」のプロ…
リリ子は朝から落ち着かなかった。 夏休みも終盤に差し掛かった頃、米倉から観劇へ招待された…
米倉は、妹の入院する病院の駐車場でしばらく考え込んでいた。 先週、妹の主治医から言い渡された言葉が何度も甦る。 「抗癌剤の効果も見られなくなって来ました。出来る限りのことはしますが、最悪の状況をお考えください。」 医師の言葉というのは、幾重にも優しさに包まれているものだ。 平日に見舞いに来る両親には、その旨を自分から告げると言うのに精一杯だった。 (本当は何年なのか、いや何か月の命なのだろう。) 先週聞けなかった言葉がこみ上げてくる。 結婚どころか恋愛も諦めた妹が不
茹だるような夏休みが始まった。 級友たちは、進学塾の夏季講習でねじりハチマキの毎日を過ご…
高校は、調布基地に隣接した新設校だった。 基地発着の騒音防止から、全校に二重の強化ガラス…
若気の至りと言うには、あまりに残酷な恋愛をしたことがある。 いや、真面目なお付き合いだっ…