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マイケル・ジャクソンのはなしをしよう② 衝撃のスーパーステージ

母が亡くなって10年以上が経つ。
ある日、ふと母の愛した音楽を聞いてみよう。と思い立った。

その頃ちょうど私は、仕事や将来への不安で少し精神的に参っていた。長らく持ち続けたビジュアル系への熱も落ち着き、新しい生きがいを見つけたかったのかもしれない。

母が最も愛したのは、デヴィッド・ボウイ、ロッド・スチュアート、そしてマイケル・ジャクソンだった。そこで私は自分が子供のころ好きだったJackson5を改めて聞いてみることにした。

YoutubeでJackson5の曲を聞きながら、ああ、懐かしいな。なんて思っていると、ある動画がレコメンドに表示された。

Jackson5の所属したレコード会社、モータウンの25周年記念コンサートの映像だ。

大人になったJackson5のメンバーがヒットメドレーを歌う。懐かしいけれど新鮮で、それだけでもとても楽しかった。やっぱり兄弟。兄弟だからこそ生まれる調和。それがとても心地よかった。

Jackson5のメドレーが終わり、マイケルが一人ステージに残り、Billie Jeanのイントロが流れたとき、私の何もかもが変わってしまった。

マイケル風に言えば" It's in and out my life."である。
まさに雷に打たれたような衝撃。画面から目が離せなくなった。
画面に映るマイケルは、あまりにも美しかった。

この衝撃をなんと形容していいのかわからない。

堂々たるステージング、はちきれんばかりのエネルギー、これまで見たことのないようなムーブメント、若さゆえの荒々しさ、流れるようなエレガントさ、挑発的だけれど物悲しい歌声、人間の汚さを映し出すような歌詞、だけれどもどこまでも透き通る純粋さ。

本来であれば相反するような要素がすべてここに集結し、調和して生まれた美しさがそこにあった。

Billie Jeanといえば、彼の代名詞ともいえるムーンウォークだ。だけれど、決してムーンウォークだけに感銘を受けたわけではない。
このステージそのもの、時を超えてもなお、画面越しでもなお、褪せることのないマイケルの生命エネルギーに完全一発K.O.。

わたくしは帰らぬ人となってしまったのです。 

友人がこのステージを「マイケルが、キングになった瞬間だ。」と言っていた。

まさにその通りなのだと思う。

かくして、マイケルは私に超特大のボディーブローを食らわせ、それからとびきり優しいキスをして、私の心の部屋から笑顔で颯爽と出て行ったのだった。



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