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コバルトアワー ユーミンがくれた心の震えを今の若者は感じることができるのか

ママ、「コバルトアワー」って知ってる?
卒論で忙しいはずの娘が突然聞いてきた。
ん?ユーミンの?
どうも卒論の資料を探しているうちに湯川玲子さんの「文科系女子という生き方」(ポスト恋愛時代宣言)に出会い、その中の一節に「コバルトアワー」が出てきたらしい。

早速ユーミン公式チャンネルで聴いてみる。
「夜の都会をさあ飛び越えて・1960年へ・バックミラーに吸い込まれてく・ちりばめられた光の中へ」
恐ろしいことに歌詞をすべて覚えていた!!!
確かレコードを持っていたはず。
改めて聞いてみるとあの歌は夜遊びのあとの朝帰りの風景だったんだね。
「あなたは昔湘南ボーイ、私は昔横須賀ガール」
田舎の中学に通っていた私にはキラキラした風景が見えた。
たまらずITuneストアへ。「コバルトアワー」を検索してポチっ!
「ルージュの伝言」、「Chinese Soup」、「少しだけ片思い」
懐かしすぎる。
「航海日誌」
娘と長崎にクルーズ旅行した時に一人朝の甲板に立ち、「空と海の輝きに向けて」とこの歌をダウンロードして、リピートでずっと聴いていた。
なんだろう、このときめきは。
過去の苦い思い出、失望、素敵な期待、そんな青春で通るであろうものがすべて、ユーミンの歌には詰まっていた。

中学のときの友達がピアノで「ベルベットイースター」とか、「翳りゆく部屋」をピアノで弾いてくれて、よく一緒に歌ったなあ。

その日一日仕事も家事も放り出してユーミン三昧。

ふと、きっかけになった本のサブタイトルを見ると「ポスト恋愛時代宣言」。つまりこういう歌の意味を知らなくてもいいやということか。
娘の話を聞いていても友達の結びつきの希薄さ、簡単に分かれるカレシとカノジョ。この子たちはユーミンのときめきを感じることがないのだろうか。

先日娘の高校の同級生のママ・パパ会(卒業して4年もたつのによく集まっている)で、あるお母さんと、意見が一致したのは、うちの息子や娘は
「どうしてどうして私たち出会ってしまったのだろう。あんなに愛してたのに。」(リフレインが叫んでる)
とか
「パールピアス最後の夜明け、彼のベットの下に一粒捨てた真珠のピアス」(パールピアス)
とか
「いつも着飾ってたのに、どうしてなの!今日に限って安いサンダルを履いてた」(DESTINY)
とかの震えを感じないんじゃないのか、だって真剣な恋愛をしていないんだから。マッチングアプリで簡単に知り合い、別れるそんな時代にこんな気持ちは生まれないんじゃないのかということ。
思い切り盛り上がってしまった。

先日、50周年記念のコンサートに抽選で当たり、横浜アリーナに行ってきた。来ているのは私と同じくらいの年齢のおじさん、おばさん。
きっとこの人たちはユーミンの歌が作り出す震えに共振し、過去の痛みを甘さを胸の奥から引っ張り出し、その日は陶酔に浸ることだろう。

軽いジントニックとか飲んでね!

できることなら娘が40歳くらいになったとき、ユーミンの世界を少しでも体験した娘と一緒に飲みたいものだ。









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