見出し画像

休職日記 5日目/6日目

ずっと家にいるのにどうしてこんなにも時間が早く過ぎるんだろう。

危うく日記が4日坊主で終わるところだった。わたしは「継続」が苦手だ。熱しやすくて、冷めやすい。冷めるというか…適当にやればいいのにきちんとやろうとして、出来なくて、思い詰めてダメになる。
……これ、こないだも書いたな。

手を抜いてもいい、適当でもいいから、継続が力になることを身をもって知りたい。から、これをまた今日も書く。一日空いても続けよう。

土曜日は、映画駄話会の日。
映画駄話会は映画好きの友人たちで集まって、ただダラダラと話すだけの集まりだ。これといって生産的な事は特にしていないのだけれど、去年の9月から始まって、月イチペースで欠かさずに開催している。
この会唯一の決まり事は、次回の課題映画を二作ほど会の終わりに決めて、次の会で観た感想を話すというもの。課題映画の候補は翌月の新作映画の中からそれぞれが気になっているものを挙げて、最終的にルーレットで決める。自分からは積極的に観ないような作品が課題映画に選ばれることももちろんあって、そんな出会いがとても楽しいのだ。時には会の前に映画館に集まって、課題映画をみんなで見ることもある。そのままファミレスになだれ込んで今見た作品について興奮のままに話すのは、決して一人では味わえない面白さがある。(わたしがこの駄話会のシステムでとりわけ好きなのが、みんなで観ようという時でも各々が勝手にチケットを買い、好きな座席でバラバラに観るところ。作品に集中出来るし、スクリーンを出て合流した時の「早く語りたい!」というみんなのモゴモゴした顔を見るは格別だ)

そんな映画駄話会が、コロナのせいで月イチでの開催が危ぶまれていた。どこかに集まって話すことも出来なければ、都内の映画館ももう開いていない。「これは延期もやむなしか」、そう思ったけれど、そこはエンタメ大好きマンが集まる映画駄話会。急遽Netflixで見られる作品を課題映画にし、鑑賞後にビデオチャットで作品について話し合うことになった。

課題映画の感想は後で書くとして、ビデオチャットの映画駄話会はとても楽しかった。
わたしが今一番にやるべきは身体を休めることだから、こうして家に籠ってゆっくり過ごすのはなんら間違っていないけれど、誰とも話さず、どこにも行かず…ただじっとしているのはそれはそれでつらいものがある。コンビニの店員としか会話してない、という自虐はひとり暮らしあるあるネタとしてよくあげられるけれど、今はコンビニすら行きづらい。
だからこうしておうちにいながら、誰かと繋がれるのはとてもありがたい。物理的な距離を開けなくてはいけないからこそ、心理的な距離はなるべく離れずにいたいと思う。
そういうの、とても下手だけど、下手なりに。

日曜日。
朝起きてTwitterを見ると、悪夢みたいな動画がアップされていて眠気が吹っ飛ぶ。この動画を見ていたら、ここ最近の色んな政策や対応に合点がいってしまい、腹立たしい気持ちとやるせない気持ちで胸がいっぱいになる。自分のTLでは皆が驚きと怒りで騒然としていた。今まで政府の対応を(Twitter上では)静観しているように見えた人たちまで声をあげていて、それがこの事態の大きさを思わせる。

アカウントをブロックしても、どうしてか更新するたびにあがってくるあの動画を見たくなくてキッチンに向かう。レシピを見ながら黙々と手を動かしていると、気持ちが少しだけ楽になった。
作ったのは豚の角煮とポテトサラダ、もち麦ご飯にお味噌汁。結婚式の引出物でいただいただしパックでお出汁をとると、いつも使っているほんだしよりもお味噌汁がうんと美味しく感じる。具材はキャベツと玉ねぎでシンプルに。地元の三重は大豆で作る赤味噌が多く、実家も手作りの赤味噌のお味噌汁だったけど、わたしは母方の実家で食べていた九州の麦味噌が大好きなので自分で買うのは麦味噌と決めている。甘くてやさしい味は大好きなおばあちゃんを思い出す。

【一日一映画】
フランシス・ハ(2014)

「あの子に比べてあなたは随分老けて見える、でも…大人びてるわけじゃない」

フランシスはガサツで片付け下手、男性からも恋愛対象に見られない、いまいち冴えない27歳。ダンサーを夢見ているけれどカンパニーのメンバーから外され、ルームシェア中の親友には部屋を出ていかれてしまう。ドミノ倒しのように悪いことが続いて、足元の地盤が一気に崩れていく様はまさに「踏んだり蹴ったり」の言葉がピッタリだ。ガサツさが仇となって言わなくていいことを口走ったり、思い切ってやってみたこともことごとく不発に終わって虚しさが込み上げたり…コメディ映画だって聞いてたのに、全然笑えない。フランシスとわたしは性格は違っても思い当たる節がありすぎる。己を見るかのようで何度か悶絶した。つらい。
だからこそ、どうにかこうにか行き着いた先でようやく光を見つけた彼女を心から祝福出来る。がんばろうね、フランシス。

不思議なタイトルの回収は、最後まで共感性羞恥に耐えたわたしへのご褒美だ。

ピーターラビット(2018)

見慣れたアニメの動きとは違う、モフモフの毛並みとなめらかな動き…動物側も人間側も自然に画面内で共存出来ていることにまず驚かされた。CG技術すごいな。
それにしても小さい頃から慣れ親しんできたピーターラビットがこんなにもワルいうさぎだったとは。子ども向けなのに結構激しい。でも、そもそもわたしが持っていたうさぎのイメージは「かわいくて頭が良くてしたたか」だったから遠からずではあるのか。色んな動物が出てくるけど、一番好きなのトナカイのフィリップス。「ま~ぶしいよぉ~」。人間VS動物の構図だけど、動物たちを慮ってくれる人間もきちんといるところが好きだ。

[追記]
ピーターラビットの吹き替えを日本語版は千葉雄大さんが務めているのだけれど、彼の吹き替えはかなり上手いと思うのだけれどいかがだろうか。ピーターの勝気でお調子者なところがよく出ていて本職の声優さんかと思った。ささやかながら彼のことを応援しているので今作も彼の声を聞きたくて見てみたのだけれど、あまりに達者なもんだから話の途中まで彼が声を当てているのを忘れていた。元々小器用な人だと思っていたけれど、いやはや全然小さくないな。千葉雄大さんは才能の塊だわ(安定の結論)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?