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陰キャ非モテの私が女装して発展場に行った話#01

はじめに

この物語はフィクションであり、登場する人物、場所は全て架空のものです。
作中の表現並びに人物の言動は作者の意見を代弁するものではありません。
また、作中のいかなる言動も推奨する意図はありません。

「良い娘は天国へ行ける、悪い娘はどこへでも行ける」
アメリカの女優、メイ・ウエストの言葉が好きだ。
どちらにもなれない私は部屋から出られないでいる。
そもそも私はどこへ行きたいのか。
わからないけど、どこかへ行きたい衝動は依然として燻り続けている。



金曜日の夜、仕事を終えた私はアパートに戻った。
今から行く場所への準備のため髭と臑毛を入念に処理する。
部屋には昨日準備したキャリーバッグが置かれている。
その中身はメイク道具にウィッグ、スカートや女性用の下着。
私は今から発展場と呼ばれる場所へ向かうのだ。

この世界に興味を持ったのはいつからだっただろうか。
私の性自認は男性で、性的指向は女性である。
だが、性差を意識する年頃になると自身が女性化する想像にどうしようもなく惹かれていった。
下着から始まりスカート、そしてウィッグやメイク。
一人暮らしを始めるとともに次々とネットで買い揃えていった。
誰にも見せることのない自分だけの秘め事。
ニューハーフや女装子のアダルト作品を見ながら自身も女性化した姿を想像をする自慰行為はいつしか習慣となっていた。
ただ、自室で誰にも見せずに完結する行為と外に出て他者と関わる行為には大きな隔たりがある。
なぜそこに至ったのかはまたの機会に書くこととする
キャリーバックを担ぎ出してアパートの部屋に鍵をかける。
本当に大丈夫か?
不安感がよぎる。

「悪い娘はどこへでも行ける」

心の中で呟くと私は駅へ向かった。

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