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『間違えやすい中国語文法を習得しよう!~介詞”把”~』

大家好!こんにちは!Lilian中国語スクールです。

今回は初中級で習う“把”を使った文についてお話したいと思います。
“把”を使った文、これを中国語文法上“把字句”(bǎzìjù)と呼びます。この“把”を使った文章は、基本的な中国語の文、つまり主語+動詞+目的語の語順ではありません。

“把字句”では、主語+把+目的語+動詞となります。
よく見てみると“把字句”は日本語の語順と少し似ています。
が、やはり考え方は異なります。


私の体験談になりますが、以前中国の学校に通っていたときの先生との会話を事例に挙げてみようと思います。

老师:你要不要茶水?
我 :我拿过来茶水。
老师:你把茶水拿过来。

分かりましたか?私は基本的な中国語の文法に沿って“主語+動詞+目的語”という語順で話し、老师に“你把茶水拿过来。”と言い直されてしまいました。
そこで、老师にききました。

我 :为什么你说‘你把茶水拿过来’。”(どうして“把”を使って言ったのですか?)

すると、老师は「この場合‘茶水’が話題の中心。あなたが言ったように‘我拿过来茶水’でもいいけれど、中国人的には‘茶水’を強調したい時、“把字句”にするんだよ。」と言われました。ここでようやく“把字句”の意味合いに気付きました。


「目的語を強調したい時に使うもの」という事は理解したのですが、ではどんな文章にも使えるものなのでしょうか?例えば、“我看了这本书。”を“我把这本书看了。”という様には言えません。ですが“我把这本书看完了。”と言えます。ややこしくなってきましたね。

この理由を紐解くために、ここで基本的な3つの“把字句”を簡単にご説明したいと思います。

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処置を表すときの“把”


“把+名詞”の文でこの名詞をどう扱ったか、どう処理したかを表す時に使います。上記でお話した様に「目的語となる対象の名詞を強調したい」という考えでいえば、「対象の名詞をどうしたのか」ということを重視します。この名詞は後ろにある他動詞の(動作の)対象になります。

例:我把信交了。(手紙を渡した。)
  我把技术学到手。(技術をものにした。)
  我把房间收拾一下。(部屋を片付ける)

上記は「名詞をどうしたのか」ということを表している文章です。そして以下の2つの文章は基本的な文として、日常会話などでもよく使います。教科書でも結構載っていたりしますので、ぜひ覚えて使ってみて下さい。

请你把那本书拿过来。(あの本を持ってきて下さい。)
他把我的车骑走了。(彼は私の自転車に乗って行ってしまった。)

ミステイクを表すときの“把”


文法書などでは「好ましくない事態が発生したこと」を表すと書いてあります。つまり、突発的な事態や私たちの感覚で「(うっかり)やってしまった」という情況の時に使います。

例:我弟弟把朋友的电脑坏了。(弟が友人のパソコンを壊してしまった。)
  他把那本书撕破了。(彼がこの本を破ってしまった。)
  对不起,我孩子把你的杯子打破了。(すみません、子供があなたのコップを壊してしまいました。)
  我把你的手表弄坏了。(あなたの腕時計を壊してしまいました。)

気付いて頂きたいのは、上記の行為は全て「故意」ではないという事です。では「故意」の場合はどの様に言うのでしょうか。
答えは「“把字句”を使わない」です。

例:那封信,我已经撕了。(あの手紙は私がやぶった)

“把字句”を使わずに言うと、故意にやったという意味合いになるので使い分けに注意しましょう。

ただあまり気にしまうと言葉を選び過ぎてしまい、話しづらくなってしまいます。なので、迷ったら学校の先生や同僚の中国人に聞いてみる事をおすすめします。

ここまで来ると「淡々と中国語の文法を覚えていく」というよりも「中国人だったらどんな言い方をするんだろう?どういう言い方をしたら気持ちが伝わるんだろう?」という考え方になってくると思います。
そうなったら中国語の理解度もどんどん加速していきますよ!

中国語の文法に限った事では無いのですが、大切なのは「相手だったらこの場合どういうふうにいうか?」ということを一つづつ理解していく事だと思います。実際の場面で覚えたものはすぐ頭に入りますし、簡単に忘れられないフレーズになるはずです。

結果を招くことを表すときの“把”


この“把”は、動作による結果を重視する場合に使います。

例:我妈妈把那个戒指送给我了。(ママは私にあの指輪をくれた。)
  我把那个课本看完了。(私はあの教科書を読み終わった。)
  我把那个包包买来了。(私はあのバックを買ってきた。)

“送给我”と“看完”は共に動作の結果であり、話し手にとって重点となるため、相手に伝えるときには“把”を使う事になります。

如何でしたでしょうか?“把”の使い方、何となく分かりましたか?この他にも“把”の用法がありますが、先ずはこの3つの“把”の用法「目的語を強調している“把”」「ミステイクの“把”」そして「結果の“把”」、それぞれの例文を1つでいいので覚えてみて下さい。次第と感覚が掴めていけると思います。
実際のHSKでも“把”について出題される事があります。過去のHSK4級より、“书写”にある“把”の語順問題がありますのでご紹介します。

1)弄脏了、她、把、裙子
2)这个、五份、材料、把、复印
3)密码、你爸、把信、用卡的、改了
4)请把、按照、这些报纸、排好、时间顺序

回答は以下となります。


1)她把裙子弄脏了。(彼女はスカートを汚してしまった。)
2)把这个资料复印五份。(この資料を5部コピーする)
3)你爸把信用卡的密码改了。(君のお父さんはクレジットカードの暗証番号を変えた。)
4)请把这些报纸按照时间顺序排好。(この新聞を日付順に並べて下さい。)

1)はミステイクの“把”、2)と4)は目的語を強調している“把”、3)は結果の“把”になります。

その他に“把”に関してよく教科書に出てくるのが、否定文はどう作るのかという問題です。否定語は“把”の前に置くのが決まりなので、例えば「我不想把这本书给他。(私は彼にこの本をあげたくない。)」という様になります。


また“把”の文中で、動詞の後ろに介詞句がつく問題があります。例えば「我把书放在桌上。(私は本を机の上に置く。)」という様に「~を~に動詞した」という構文で、場所を表す部分をどこに置くかという点にも迷わされてしまいます。上記の3つの“把”を覚えたら、少し応用した問題にも挑戦してみて下さい。

“把”の構文も今までの文法と同様、日常生活でも利用頻度は高いものです。もちろんHSKでも。基本をしっかり押さえて着実に覚えて行きましょう。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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