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空から旭川・富良野を見てみよう(3)

この作品はフィクションです。
実在する施設・店舗をモデルとして描写する場面がありますが、一観光客としての来訪経験に基づき構成したものです。関係者への取材活動は行っておりません。
従って、実在の人物・団体などとは一切関係がありません。過去に放送された実在番組とも関係はありません。
あくまでフィクションとしてお楽しみください。

※Google Mapより空撮アングル相当画像を引用しています
※掲載写真は特記以外2023年10月撮影

おことわり

Scene 7(旭川四条)

♪Mr. Fantasy's Love(飛行ルート案内地図画面)

「寄り道してしもうた。比布から旭川市内に戻り、旭山を目指すぞ」

「リアルアニマルズに会えます!」

♪143 (Kelly's Song)

「比布町の東隣、当麻町じゃ」

当麻町上空(筆者撮影)

「当麻町?」

(テロップ)上川郡当麻町 DATA
人口6,267人(道内83位) 面積204.90k㎡(道内137位)
2022年1月1日現在
奈良県當麻町(現・葛城市)と友好交流都市だった

「皮が真っ黒なスイカ、”でんすけスイカ”で知られておる」

(スイカの写真が映し出される)

「わわっ、本当に真っ黒!ボウリングのボールみたいです」

「じゃが、中の果肉は鮮やかな赤色で、食感はシャリシャリじゃ」

「夏にまた来てみたいです」

「さて、旭川の市街地がまた見えてきたのう」

旭川四条付近上空(筆者撮影・テロップ付与)

「ああっ、くもじい!」

「どうした?くもみ」

「わたしの大好きなアレ、見つけちゃいました!」

「おお、旭川にもあるのか」

「早速測りに行きましょう!」

(テロップ)「 とんがっている建物の正体は?」

♪Theme of Luxury

「とんがってるのが好き!測れ、トンガリ計測部!」

(ナレーション)「今回のトンガリ物件は、旭川四条駅近くの3階建てビル」

「いい感じのトンガリです!」

「エキチカでグーなロケーションじゃな」

4条17丁目にて

♪MPF

「すみませんくもみですけど、トンガリの内側見せてくださいますか?」

「どうぞ。ただの階段ですよ」

「本当だ。階段と廊下だけですね」

(テロップ)「トンガリポイント 質素な階段スペース」

「消火器だけじゃな。ここは何をやっておる」

「和服の加工、仕立て、クリーニングなどを行っています。本社は京都です」

「計りましょうか。今回の計測部の方、どうぞ!まず計測部の衣装に変身!」(キラキラ)

「おおっ」

「それでは計測お願いします!」

♪You Must Learn All Night Long

(ナレーション)「果たして今回の角度は?」(ピピピピピ…)

「出ました!47°です!」

「碁盤目状の街じゃからのう。見つけただけで上出来じゃ」

「北海道で珍しいトンガリ、これからも大切に!」

「駅に行ってみるか」

「はい」

「高架ホームですね!あっ、きれいな雪山が見えます!」

「大雪山系じゃな。右の旭岳は北海道最高峰じゃ。左は愛に別れと書いて愛別岳じゃ」

旭川四条駅ホームから旭岳が見渡せる
愛別岳

「淋しい名前ですね」

「アイヌ語に漢字を当てたからじゃな。大雪山系の奥には層雲峡があるぞ」

「気になる名前ですね。あっ、電車…じゃなくて気動車が通過しました!」

「特別快速”きたみ”じゃ。北見と旭川を結ぶ貴重な足じゃぞ」

「1両の特別快速!」

特別快速「きたみ」

「ここ旭川四条には路面電車があったのじゃぞ」

「そうですか」

「旭川電気軌道がここから旭山公園方面と東川方面に電車を運転しておったが、1972年暮れに廃止されたのじゃ」

「はあ」

「旭川出身のバンド、安全地帯のメンバーは当時中学生で、停留所にある安全地帯の標識を見てバンド名にしたのじゃ」

「そうだったんだ!」

「旭川電気軌道株式会社は、路面電車をなくしバスだけにして50年過ぎた今も、社名は旭川電気軌道のままじゃ。日本最北の路面電車の記憶はしっかりと受け継がれておる」

「くもじいは鉄道のことになると熱が入りますね」

「コホン。では空に戻るぞ」

「はい!」

Scene 8(旭山動物園)

♪Sunday Morning

「旭山動物園って、街の中心から結構離れていますね」

「1964年、旭川市で動物園を開くことが決まった時、数ヶ所の候補地が挙げられた」

「はい」

「さっき話した旭川電気軌道の終点があって交通が便利なことからここに決まったのじゃ」

「そうだったんですか!路面電車すごいです!」

「じゃろう?開園は1967年7月1日じゃ」

旭山上空 中央下部の建築群が動物園(筆者撮影)
Google Map より引用

♪Firecracker

「あっ、くもじい!旭山に”ゲゲゲの鬼太郎”の目玉おやじがいます!」

「なぬ、目玉おやじ師匠とな!ご挨拶せねばならぬ」

「ほら、あそこです」

「うん?…くもみ、目の色が違うじゃろ。師匠は赤目じゃぞ」

「てへっ」

「しかし気になるのう。一体何じゃ、こりは?」

(テロップ)「 旭山動物園の大きな目玉は何?」

「ここが旭山動物園ですね」

「賑わっておるのう。あの者に聞いてみようかの。くもじいじゃ!」

「はい」

「あの目玉は何じゃ!」

「これは”ぺんぎん館”の屋根です」

「ぺんぎん館?」

(ナレーション)「ペンギンは旭山動物園の中でも人気者。ぺんぎん館は行動展示を象徴する施設で、映画のモチーフにも使われました」

旭山動物園ぺんぎん館 ドーム型屋根の下は生態などの解説コーナー

「おお、たくさんおるのう」

旭山動物園のペンギンたち

「ぺんぎん館は2000年9月にオープンしました。今はキングペンギン、ジェンツーペンギン、イワトビペンギン、フンボルトペンギンの4種を飼育しています」

「一羽ずつの名前はないのですか?」

「個体には名前をつけていません。翼につけたバンドの識別番号で見分けています。まだ少し先ですが、冬になると積もった雪の上を列になって散歩しますよ」

「ここのペンギンは空を飛ぶのじゃったな。見に行くぞ」

「楽しみ!」

ぺんぎん館水中ドーム
水中ドームを地上から眺める

「あれ?全然飛んできませんよ」

「くもじいじゃ!おーい、一羽くらいこっちに来んか!…無視されちょる」

(ナレーション)「飼育員がペンギン広場の清掃を始めるとペンギンが水槽に入り、水中ドーム越しに泳ぐ姿が見られます」

「リビングで寝転がっていたら掃除で追い出されるお父さんみたいじゃのう」

「自分でもやる時代ですよ」

「ぎゃふん」

「せっかく来たのですから、もう少し見て回りましょうよ」

「じゃな」

「紅葉がきれいです!」

旭山動物園にて

「きつい坂じゃのう。よいこらせーっと、くもじいじゃ」

「山の斜面ですものね」

旭山動物園の園内は急坂が多い
坂道の向こうに市街地が見渡せる

「この地形を生かした設計になっておるのじゃ。旭山動物園の入園者数は1983年の約59万7000人が最初のピークで、その後だんだん減ってきたのじゃ」

「はい」

「1990年代には動物が相次いで死んでしまったこともあり、1996年には約26万人にまで落ち込んでしまったのじゃ」

「悲しい…」(涙声)

「じゃが、動物園は翌年から行動展示に切り替え、それに合わせた施設を次々とオープンさせたのじゃ。これが評判になって『くもジェクトX』やテレビドラマに取り上げられ、入園者数はV字回復。2007年には上野動物園に次ぐ307万人を記録したのじゃ」

「ん?くもじい、『プロジェクトX』!」

「ばりたか(ばれたか)」

(テロップ)2019年度動物園年間入場者数
1位 東京都恩賜上野動物園(東京都台東区)約348万人
2位 名古屋市東山動植物園(愛知県名古屋市)約234万人
3位 天王寺動物園(大阪府大阪市)約148万人
4位 旭川市旭山動物園 約139万人

「あ、ほっきょくぐま館!トンガリっぽい看板です」

ほっきょくぐま館入口

「入ってみるかのう。ここも地形を生かして行動観察できるようになっちょる」

「近くで見ると迫力ありますね。毛が真っ白です」

旭山動物園のホッキョクグマ

「くもみ、毛皮は白ではなく無色じゃ。透明な毛が無数に折り重なることで白く見えるのじゃ」

「私たちと同じですね」

「おおお、近づいてくるぞ!」

「くもじい、なつかれています」

接近遭遇

「ホッキョクグマは繁殖が難しいのじゃ。温暖化の影響も受けやすい。北海道4ヶ所の動物園共同プロジェクトで飼育に取り組んでおるぞ」

Scene 9(東川町~東神楽町)

♪Mr. Fantasy Love(飛行ルート案内地図画面)

「次は旭川空港に向けて飛んでいくぞ」

「進路は南!」

♪Skyline

東川町上空(筆者撮影)

「旭川市の東隣が東川町じゃ。旭岳も東川町に入っておるぞ」

(テロップ)上川郡東川町 DATA
人口8,390人(道内60位) 面積247.30k㎡(道内125位)
2022年1月1日現在
1972年末まで旭川電気軌道の終点があった

「広いんですね!」

「南は忠別湖に接しておる」

「北海道の泉です」

東川町東部上空(筆者撮影・テロップ付与)

「東川町は”写真の町”なのじゃ」

「写真?」

「1985年に”写真の町”宣言を行い、1994年から全国の高校生を対象にしたコンテスト”写真甲子園”を毎年開いておる」

「まだフィルムだけの時代ですね」

「そうじゃ。当時から雄大な自然の”映え”を意識しておった。先見の明があったのじゃな」

「素敵です!」

「旭川家具の工場や工房の誘致もしておるぞ。東川町の南隣が東神楽町じゃ」

「東神楽?」

「もともとは神楽村じゃったが、1943年に東半分が独立して東神楽村になったのじゃ」

「西半分はどうなったのですか」

「1968年に旭川市に編入されたのじゃ。西神楽はJR富良野線の駅名に残っておる」

(テロップ)上川郡東神楽町 DATA
人口10,110人(道内55位) 面積68.64k㎡(道内181位)
2022年1月1日現在
「東神楽の種と実セレクト」ブランドアスパラ・トマトなどが名産

「神楽って、大きい神社があったのですか?」

「日本で言う神社とはちと違うぞ。アイヌ語で”囃しをつけているところ”という意味の”ヘッチェ・ウシ”と呼ばれておったので、囃しなら神楽ということで地名にしたのじゃ」

「連想ゲームみたいです」

「そろそろ旭川空港じゃな」

「空港は東神楽町なのですね。…あっ、くもじい!」

「どうした?くもみ」

♪Firecracker

「空港の隣にクジラがいます!」

「クジラ?ははは、山の真ん中に…おるのう!本当じゃ!一体何じゃ、こりは?」

(テロップ)「 空港ビルの隣のクジラ形は何?」

Google Map より引用

「このあたりじゃな」

「空気がきれいです!お花もちょっと残っていますね」

「そういえば、くもみのリボンにも少し似ていたのう」

「エヘヘ」

旭川空港滑走路脇の公園
空港ターミナルビルが見渡せる

「あそこにおる、三脚を立てている者に聞いてみるか。くもじいじゃ!」

「あっ、こんにちは」

「ここは何じゃ!」

「公園ですね…名前はわかりませんけど」

(ナレーション)「ここは旭川空港公園グリーンポート。離着陸する飛行機を間近に眺められるスポットです。クジラに見えたのは公園内の丘を一周する歩道です」

「おぬしは空港の者ではないのか?」

「いえ、見ての通りただのオタクです」

「そうじゃったか」

「飛行機の写真を撮っているのですか?」

「そうですね、よく来ています。滑走路の反対側、千代ヶ岡のほうにもお立ち台がありますよ。そっちに行けば旭岳をバックに離陸する機体が狙えます。空港では毎年写真コンテストをやっていますよ」

「素敵な写真たくさん撮ってくださいね!」

(影が近づく)

「くもじい師匠、くもみさん、ようこそ旭川空港へ。お待ちしていました」

「誰じゃ、おぬしは!」












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