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南海電鉄ラピートの車掌さんにお礼を言いたくて

 南海電鉄のラピートといえば、あの紺色の車体にまあるい大きな窓ですが。そのラピートには、二歳のころの息子を運転席に乗せていただいた温かな思い出があるのです。

 関西国際空港へ飛行機を見に行こうと、大阪に住んでいた私たちは電車や飛行機が大好きな息子を喜ばすために、近鉄のラピートの乗車券を購入して乗る準備をしていたのです。

 ところが、息子は初めて見るラピートの大きな窓が目玉に見えたのか、怖がって大泣きをしたんですね。あやしてもあやしても泣き止まず。困り果てていた時でした。
 なんと!車掌さんが泣いている息子の手を引いて、運転席に連れて行ってくださって。運転席に座らせて、車掌さんの帽子まで被らせてくださって!

 何が起こったのかよく分からず戸惑っている息子でしたが、運転席の珍しさとそこに座った嬉しさが半々みたいな複雑な顔をして私たちを運転席から見ていました。

 車掌さんは記念にと思ってくれたのでしょう。私が我に返って必死で写真を撮り終えるまで息子の背中を擦ってくださっていました。

 その時撮った写真は今も額に入れて置いてあります。

 その車掌さんはまだお若くて、二十代後半か、三十代はじめだったと思います。もちろんイケメンでした。その車掌さんのことがずっと心に残っていて、あの時のお礼を言いたいと思っていたのですが、会社の規定に反して乗せてくださっていたのならご迷惑をかけてしまうかもしれないと思ったし、どの車掌さんかもわかりません。

 今、出来るならば、探偵ナイトスクープに依頼して、その車掌さんを探したいと思ったりするほどです。
 名乗ることもなく、言葉を発することもなく優しい気遣いをしてくださった車掌さんは、私たち家族のヒーローです。

 その車掌さんも、あの大泣きをしている息子の手を引いて運転席に乗せてくださったことを覚えていてくださるといいなぁと思うのです。
 もし会社の規定に反していても時効なのではないかとも思うので、感謝の気持ちを込めてこうして書いてみることにしました。

 いつか本当にお会いして、お礼を言える時が来るといいなと思っています。
 優しい心遣いというのは、何年経っても色あせることなく心に刻み込まれますよね。私もそんな心遣いが出来る人間でありたいと思わせてくれた優しい出来事でした。

 やっぱりこういう時は、「探偵ナイトスクープ」へ依頼するといいのでしょうね。
 勇気が出ずにもう長いこと経ってしまいましたけど、いつか番組が終了するまでに依頼をしたいと思います。

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