#027


『個人的な見解』

昔の緑川 ルリ子よりも、
今の緑川 ルリ子の方がいい。

本郷 猛も、一文字 隼人も、
昔より、今の方がいい。

『シン・仮面ライダーを観た感想』

…ショックで、今は言葉にならない。
(結末は、何処かわかっていたはずなのにな。)

戦闘シーンは、今までのシリーズには、あまり観られない程
暴力的であり、また敵を破壊するイメージを持った。

仮面ライダーの強さと、
暴力的な怖さが滲み出ているようなシーンでもあり、
僕は、強い好感触を抱いた。
(ショッカー戦闘員からしたら、悪夢でしかなかっただろう。笑)

近頃、感情移入出来るコンテンツの存在が、
なかなか日本にはないという事は、以前に書いたのだが、
今回の作品、シン・仮面ライダーに関しては、
久しぶりに、感情移入出来る映画になった。

1号ライダー、2号ライダーの活躍とあって、
どうしても、当時のテレビ版と比較しながらの
感想となる事をご容赦頂きたい。
(漫画版は、まだ読んでいない。)

まず、俳優陣が魅力的だった事。
主要な俳優陣は、まさに映画の顔そのものである。


緑川 ルリ子を演じた、浜辺 美波さん、
1号ライダーを演じた、池松 壮亮さん。

まずは、この二人が常に一緒に行動していく。

僕が驚いたのは、立花 藤兵衛にあたる役者がいなかった事。
(たちばなと、名乗る人物はいる。)

立花 藤兵衛とは、天涯孤独の身であった
本郷 猛の親代わりであり、導き手であり、また友人でもあった。

『おやっさん』という愛称でも親しまれた男だ。

プロのトレーナーでもあり、本郷や、一文字 隼人の
トレーニングも担当していた。

彼は情に厚く、大人であり、この世界でいう所の
一般人代表みたいな男でもある。笑

本郷は、この立花の存在もあってか、
辛く、過酷な戦いの日々すら、乗り越えて行けたのだ。

テレビ版の本郷を始めとして、立花もそうだが、
彼らは、明るいイメージだった。

しかし、本郷の本心としては、ある日突然、
ショッカーに拐われたと思ったら、勝手に改造人間にされ、
人間ではなくなっていた事に、彼は絶望していたのである。

本郷のこの絶望や、怒りや、心の葛藤は、
テレビ版でも、至るところに表現されている。

本郷がテレビ版でも、人々に明るく振る舞えたのは、
この立花の存在が大きかったのではないかと、僕は考えている。

では、話を元に戻す。

シン・仮面ライダーでは、立花 藤兵衛にあたる人物がいない。
では誰が、立花の役割を演じていたのだろう?

…緑川 ルリ子である。

このルリ子が、
本郷にとっての、立花の役割の一部を担う事になった。

しかし、ルリ子は、立花のように大人ではないし、
器用にも振る舞えない、どちらかといえば、不器用な人間だ。
(それでも、本郷を導こうとした。)

しかも、ショッカーからは身を退き、
常日頃から、彼らに追われている存在である。

ルリ子は、自らが得た知識を本郷に伝えるのだが、
本郷が人知れず悩み、絶望し、苦しんでいる様は
端から観て、当然知っていたはずである。

しかし、ルリ子には、どうする事も出来ない。
ルリ子単身では、ショッカーに対抗するのは困難を極める。

テレビ版とは違い、本作は日本政府が強い。笑
その為、日本政府が管轄している組織の力で、
ある程度のオーグ (怪人)達は、殲滅出来るようである。

組織もまた、影ながら本郷達を監視し、
また、サポートもしている。

では、立花の役割の一部を担うはずのルリ子がこの状態で、
当の本郷 猛はどうなっているのだろう?

…案の定、悩み、苦しみ、絶望している。

ルリ子では、本郷を支える事は、まだ出来ない。
(出会ったばかりで、どうしても時間も足りなかった。)

それに、ルリ子の父親である緑川博士が、
登場してから速攻でフェードアウトし、
(…ああ、やっぱりね。笑)
さらに緑川博士が、本郷にルリ子を託した事によって、
本郷は、ルリ子をショッカーから守らねばならない。

だから本郷は、
ただひとり、悶々と過ごすしかなかったのである。

でも僕は、本来、石ノ森 章太郎 先生が描きたかった
仮面ライダーって、きっとこっちなのでは?と感じていた。

本来の仮面ライダーは『もの哀しい話』なのだ。

言ってしまえば、テレビ版の仮面ライダーよりも、
本来の原作表現に近いものが、このシン・仮面ライダーである。

そして、何故僕が、この映画を結末まで観て、
ショックを受け、言葉を失ったのか?

ここまで書いて、僕が誰に感情移入したのかは
ご理解頂けるかと思う。笑

僕の場合、1番は、緑川 ルリ子であった。

実は僕は、緑川 ルリ子が好きではなかった。
何故かと言えば、テレビ版の最初の頃、
父親である緑川博士が、ショッカーによって暗殺された時、
その場には、本郷もいた。

しかし彼女は、よく調べもせずに、父親を暗殺したのは、
本郷 猛に違いないと決めつけ、信じ込み、彼を疑ったのだ。

そして本郷は、彼女によって、実害も被っている。
その後、誤解は解けるのだが、僕は釈然としない。

僕は、こういうヒロインは大嫌いでもある。笑

主人公に対して、支えるでもなく、際たたせるでもなく、
ただ勘違いして、陰で邪魔してくるヒロインなんて、
もはや、潜在的な敵でしかないからである。
(嫌いなヒロイン、ベスト20には入るかもしれない。)

しかし本作で、浜辺 美波さん演じるルリ子を観て、
僕の緑川 ルリ子像に、大きな地殻変動が起きた。笑
ルリ子へのイメージは、大幅にアップ。

まさか僕が、緑川 ルリ子に対して、イメージが大幅に良くなり、
また、感情移入する日が来るとは思わなかった。

昔より、今の俳優陣の方がいいと表現したのは、
こういう感情の変化もあったのだ。

ルリ子は、本郷を支えようとしたが、
『出来なかった』だけであり、無関心だった訳ではない。

また、当初は敵であった、一文字 隼人の洗脳を解き、
本郷を助け、2号ライダーとなるきっかけを作ったのも、
完全に、ルリ子その人であった。

ルリ子が、二人に巻いていたマフラーこそが、
ただのオーグではない、本物のヒーローの証でもある。

ルリ子は力の限り、ショッカーに抵抗し、
また、仮面ライダー達を助け続けた。

僕には、その事実だけで充分だったのである。


THE END 





































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