#乗り違えたバス

『…お客さん…ここが終点です。』

運転席から、人の良さそうな初老男性がマイクを使い、
客席に座っている男性客に対して、声をかける。

『…あっ…これって、第二駅まで行きませんか?』

『…このバスは老朽化でね、今日で運行は終わりなんです。
このまま会社まで帰るから、第二駅まではいかない…。』

『…しまった…乗るバスを間違えてしまいました…。』

『…そうだったんだね…乗る時にキョロキョロしていたから、
こちらから、聴いてあげればよかったね。』

『…いいえ、間違えてしまった僕がいけないんです…。
…しかし、参ったなー。周りにタクシーも停まっていないし。』

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