高校時代(4)

当時流行っていた「完全自殺マニュアル」の前書きにこんな事が書いてあった。「僕らはいつもデカイ一発を待っていた。ベルリンの壁が崩壊した時、チェルノブイリで事故が起きた時、デカイ一発が来ると思った。でも、僕らの生活は何も変わらなかった。デカイ一発は来ないんだ。」うろ覚えだけどこんなだったと思う。しかしこの年、日本は大きく揺れて色々な事が変わって行った。デカイ一発どころか複数発来た。

まず1月。阪神淡路大震災が起こった。当時としては戦後最大の地震にして、俺が生まれてから最大の災害だった。東京にいたので当事者にはならなかったけど、連日連夜のニュースで大変な事になっているのは固唾をのんで見守っていた。当時は情報インフラが弱くて神戸は陸の孤島となり、最初は情報が一切出てこなかった。自衛隊の出動が遅れた事も問題となり色々とルールが変わる事になる。

そして3月、地下鉄サリン事件が起きる。通勤時間の満員電車で毒ガスがばら撒かれた未曽有の大事件だ。春休みだったので巻き込まれなかったけど、地下鉄で通学してたので自分も危なかった。戦後最大の事件と言って差し支えないと思う。国内のみならず世界で大ニュースになってたし。それまで面白集団みたいな認識だったオウムは一気に危険なテロリスト集団になった。地下鉄からゴミ箱は消え、色々と社会のルールが変わった。

バブル崩壊後の不況が本格化し大手金融機関の破綻が始まったのもこの年で、いよいよ不景気は本格化していった。住専問題はその後も尾を引く事になる。日本社会は混迷を極めていったと言って良いと思う。

Windows95の発売もこの年だ。それまで一部のマニアくらいしか持ってなかった家庭用パソコンの普及がここから一気に進む。自分が買ったのは大学時代なのでもうちょい後だけどWindowsが出てなかったら買ってなかったと思うし。パソコンが一気に身近になったのは間違いない。家にパソコンがある友達もチラホラ増えて来て、触らせてもらったりしてた。時代が変わりつつあると思った。

新世紀エヴァンゲリオンの放送が始まった。流石に受験だったので今ハマったらやばいと思ってリアルタイムには見なかったけど、見てしまった人たちの衝撃は凄かった。浪人してた。受験が終わったらまっさきにビデオ借りて観たけど確かに凄まじかった。ていうかOPからしてそれまでのアニメと全然違う。アニメはエヴァ前とエヴァ後で大きく変わると思った。90年代前半のオタクバッシングの空気はこの混迷の時代でだいぶ薄まってたんだけど、ほぼ吹き飛んだ。オタク文化がサブカルチャーからポップカルチャーに変わったのがこの年だったと思う。オタク文化、日本の文化は、この頃を境に大きく変わって行く。ちなみに声優のアイドル化もこの頃からだった気がする。

そんな日本の社会が、文化が、空気が変わる転機となったこの年、とりあえず俺は受験勉強してました。ちょうどハマりつつあった筋肉少女帯を聞きながら。

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