龍が如く7 光と闇の行方 - レビュー

最近は忙しかった。闇の戦士となって、光が反乱した世界に平和を取り戻した。忍びの掟を胸に秘め、主君を救うため戦国に忍んだ。そんなのばっかりだったので、ちょっと飽きてきていた。世界とか未来とか、平和とか。。。少し休みたい。むしろ今までと正反対のゲームをしてみたい。

常識をぶち壊すような事件に巻き込まれ、現実逃避をしてみたい。ちょっとダークな世界に浸って悪いことをしてみたい。読めば読むほど頭が悪くなっていきそうな物語を進めてみたい。

しかし、そんな体験ができるゲームが有るのだろうか。そう、あるのです。「龍が如く」が、ね。


「龍が如く7 光と闇の行方」は「龍が如く」シリーズの最新作として、2020年1月16日に発売された。裏社会に生きる「ヤクザ」をテーマに据え、先の読めないストーリーを特徴としている。
今作は、これまでのナンバリング作品から大きな変更が加えられており、シリーズの顔と言える「桐生一馬」を主人公から降板、戦闘システムをアクションからターン制コマンドバトルに変更している。

そんな龍が如く7だが、先日サブクエストを全て消化し、トロコンまで約80時間を費やした。感想を一言で言えば、とても良いゲームだった。二言で言うと、様々な箇所で粗がある。しかし、それを上回る程に光るものがあった。

以下、気になった部分から書いていく。

・春日一番という、愛すべきキャラクターの誕生

今作で最も光り輝いていた部分だと感じている。春日一番は直情的で義理人情に厚い性格をしている。弱気を助け、悪いものは悪いといい、自身の信念を絶対に曲げることはない。しかし、それでいて、春日一番は何も持っていない。金も権力も信頼も、何も持っていないこの男が、自らの信念だけを武器にしてヤクザの巨大組織に立ち向かっていく姿は、応援したくもあり、見ていて非常に気持ち良いものである。

また、実在の横浜のモチーフとし、今作の舞台となる「横浜・伊勢佐木異人町」には多くの人間が春日に助けを求めてくるが、大体が頭のおかしい内容である。それらに対して、相手に翻弄されつつも、関わってしまった以上はどうにか解決しようと奮闘する姿は非常に滑稽であり、同時に春日の持つ正義感や責任感の強さを感じさせる。

春日がなにかすればするほど、春日のことが好きになっていく。新規主人公として最初は一抹の不安を覚えたが、杞憂に終わって本当に良かったと感じている。

・RPGシステムによる仲間とのコミュニケーション

そして、その春日一番を取り巻く仲間、舞台も良い。
今作は仲間とのパーティシステムが採用されており、共に行動することで「絆Lv」があがり仲を深めることができる。「絆Lv」が上がることで「絆ドラマ」なるものが開放されるが、彼らの悩み、人格を形成する過去の事件、迫りくる問題などを知ることができ、仲間の新しい一面を知ることができ非常に良い。

また街に点在する飲食店で食事をすることで聞くことができる「宴会トーク」、街中を探索することで開放される「パーティチャット」は、仲間たちが何を考え、どのような人間なのか、日々の生活がどんなものかを教えてくれる。上記の「絆ドラマ」に比べてば非常にくだらない内容も多いが、親友同士の下らない会話を盗み聞いている感覚でもあり、恥ずかしくも非常に面白い内容だった。

「龍が如く」は裏社会をテーマにしているため、基本的には暗い話が多い。しかし、今作に採用されたパーティシステムは、笑いと明るさをもたらしてくれる革新的なものだったと感じる。

・新しい戦闘システム「ライブコマンドRPGバトル」について

今作の一番の問題点だと感じている。これについては以下IGN JAPANのレビューが至極丁寧、詳細、かつ辛辣に記載されている。ほぼ同意なので、特に僕からは書きません。

『龍が如く7 光と闇の行方』レビュー (IGN JAPAN)
https://jp.ign.com/ryu-ga-gotoku-7/41286/review/7

以下、特に共感した内容を引用。

まず問題となるのは本作独自の要素「ライブコマンドRPGバトル」の「ライブ」の部分。その名のとおり「街も人も常に動き続けている」というのが本作の売りとなる。

(省略)

まったく理解しがたいことにプレイヤーはキャラの立ち位置に関与することができない仕様となっている。
範囲技の当たり判定なども表示されないため、技を繰り出すたびに「あの敵は対象に入るのだろうか」というよくわからない部分で気を使うことになる。また、たとえ当たり判定を感覚で掴んだとしても、敵も味方もランダムに動くがゆえに「あとほんの少し寄ってくれたら当たったのに」というまた別のフラストレーションを抱えることになる。
このライブ要素はテンポを激しく損なう要因ともっている。当然のことながら、敵を殴るにはまず近くまで歩み寄る必要があるのだが、本作では敵味方の立ち位置が常に変化し続けているため、攻撃のたびに状況に応じた「位置合わせ」の必要が生じてくる。

(省略)

昨今のRPGは何よりも「テンポが命」。どのRPGもテンポの改善のためにしのぎを削っている。ライブ感のために倍速機能もカット機能もないのであれば「弱点を突くことでプレイヤーのターンを増やす」などのシステム面の工夫があれば良かったのだが、そういったものもない。

まとめ

ゲームで期待された二要素の内、新規主人公として抜擢された春日一番のキャラクター性によってゲーム体験が輝いた一方、一新された戦闘システムは闇を落としている。もったいなさを感じてしまうが、良い部分は本当に良い。評価をするときに苦笑いを浮かべてしまうが、それでも良かったと胸を張っていえる。「龍が如く7」はそんなテレビゲームです。

・読んだレビュー

Game*Sparkレビュー:『龍が如く7 光と闇の行方』 
https://www.gamespark.jp/article/2020/01/25/96269.html
レビュアーのゲームへの情熱を感じられる。

『龍が如く7 光と闇の行方』レビュー (IGN JAPAN)
https://jp.ign.com/ryu-ga-gotoku-7/41286/review/7
非常に的確な内容であり、かなり参考にした。
今回の自分のレビューに大きな影響を与えている。

京都のドラッグストア店員ブログ:龍が如く7 微ネタバレ エンディングを終えてストーリー感想・評価・レビュー
https://tukasamakoto.com/ryugagotoku7-netabare-story-ending-review
スト-リーについてのレビューは考えさせられる。

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